山に行こう 山行記録 八ヶ岳/赤岳〜阿弥陀岳

八ヶ岳/赤岳〜阿弥陀岳

赤岳(標高2899m・山梨県/長野県)
阿弥陀岳(標高2805m・長野県)

2002年8月2日(金) 曇り時々雨時々晴れ〜8月3日(土)晴れ
テント1泊 単独行
幕営地:行者小屋(8/2)

●写真

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●交通

往路JR蒲田4:33 − 東神奈川4:48
東神奈川4:54 − 八王子5:48
八王子5:49 − 高尾5:57
高尾6:15 − 茅野8:50
諏訪バス茅野駅9:30 − 美濃戸口10:00

復路諏訪バス美濃戸口13:09 − 茅野駅13:51
JR茅野14:24 − 小淵沢14:38
小淵沢15:16 − 高尾17:44
高尾17:50 − 立川18:06
立川18:14 − 川崎19:10
川崎19:14 − 蒲田19:20

●山行

1日目(歩行時間3:27)
美濃戸口10:13-美濃戸山荘11:17-行者小屋13:40
2日目(歩行時間6:33)
行者小屋発5:02-赤岳6:43-休憩32分-赤岳発7:15-中岳8:19-阿弥陀岳9:03-休憩22分-阿弥陀岳発9:25-不動清水10:44-御小屋山11:34-美濃戸口12:29

●記録文

週頭の鳳凰山から中3日。8月2日から夏休みがとれて11連休に突入した。前回の山行のダメージで少し肩が痛いけど休みを有効に使いたいので初日から出かけたい。にもかかわらず、前日は予期せぬ仕事で呑みが入り帰宅は10時半。しかし翌朝一応酒は抜けて、二日酔いの心配もなく出発する。行き先は天気予報がはっきりしないので、北岳か八ヶ岳と決めて、とりあえず甲府行の一番の接続で進む。
中央線で爆睡の後、塩山辺りで意識がはっきりしてくる。携帯で天気予報をチェックすると山梨のほうが若干よさそう(それでも曇り時々晴れ)。しかし大樺沢を歩くのにアイゼンがないことに気付き北岳はおあずけ(本当に必要なのかはわからんけど)。赤岳〜阿弥陀岳に行者小屋幕営で登ることに決める。甲府〜茅野間で左手を見ると、鳳凰山・甲斐駒などの眺めがかなりよく、甲府で降りなかったことをちょっと後悔しながら茅野までの乗車となった。
茅野発9:30のバスは直通便で、乗客は登山者ばかり。座席は1/3が埋まった程度。平日の強みはこれだ。美濃戸口で下車するとけっこう日差しが強い。八ヶ岳山荘はネットの情報どおり風呂がある模様。帰りはこれに入ろう。ちなみにここのトイレはチップ制で一回50円。50円玉がなかったので100円払った。
登山補導所に登山届を提出してまずは美濃戸山荘まで林道歩きだ。車道脇にはソバナ・ギボウシ・イブキジャコウソウなどが花をつけていた。この辺りの標高ではちっとも涼しくなく歩みもはかどらない。だらだらと進んだせいで1時間以上もかかって美濃戸山荘についた。付近には山荘が3件ありお金を払えばここまで車で入ってこれるようだ。水場もある。ここでパンを食べて腹ごしらえし、ご高齢の集団が出発する前にそそくさと南沢へ進む。
南沢沿いの登りはおおむねなだらか。でも足場は石がごろごろしてて歩きにくい。ただ林道歩きと違って沢沿いなのでとても涼しい。涼しくなったのにはもうひとつ理由があって、どうやら日が翳ってきた模様。しかも飛行機の音かと思っていた音は遠雷で一雨降りそうな気配。暑いのはいやだけど仕方ないのでカッパを着てザックカバーをつけた。途中沢の水を飲んだら酸性が強くて汚染されているかもしれないと思った。
沢の水も枯れ河原状の地帯を進むとやがてヘリの荷おろし場があってその上の小台地が行者小屋だった。ラッキーと言うべきか小屋に着くと同時にいよいよ雨が本降りに。雷はひどくないけれどそこそこの雨あしだった。
小屋で幕営の手続きをすると1名1000円也。トイレの浄化システム導入で今年から幕営料金が値上がったとか。確かにトイレは常に水が循環していて綺麗なのでこれも自然保護のためと我慢する。小屋前には屋台があって、行者ラーメン(800円)やらおでん、アイスクリーム、生ビールなどを売っていてちょっとした居酒屋状態。自分も雨宿りの間生ビール(800円也)を飲んで一服。山で生ビールなんてちょっとした幸せだ。
30分ほどで雨が上がり、小屋前のサイトに設営する。ぺグの刺さりが悪いのでテントを石で固定した。しばらくするとガスが晴れて横岳〜赤岳〜阿弥陀岳の岸壁がサイトを取り囲むように姿をあらわした。時間もたっぷりあるし中山展望台に移動して景色を眺めることにする。
中山展望台からの眺めは絶景で行者小屋を取り囲むようにそびえる八ヶ岳の峰峰を手にとるように眺めることが出来た。地蔵尾根や文三郎尾根、赤岳の稜線にいる人が意外と間近にもぞもぞといった感じで動いているのが見える。ここから見る赤岳への登路はかなり切り立っていて、そんなところを移動する登山者を眺めていると、こちらのほうが何か怖くなる。だれもいないので日本酒を飲みながら1時間ほど景色を見てぼうっとした。現金なもので朝方の北岳のことなどまるで忘れている。展望台の奥まったところには真新しい遭難碑があったけど、更に奥に大雉があったのでこれには神経を疑ってしまった。
腹が減ったのでサイトに戻って夕飯。カレーとペペロンチーノを食す。更に酒を投入していると、八ツの岸壁に夕日が差し掛かっていい色合いに。もったいないのでもう一度中山展望台に行って写真をとった。赤岳がまさにその名の色で輝いて日暮れとともに急速に色を失っていった。そして、麓からものすごい勢いでガスが沸きあがってきて辺りを覆い尽くした。明日の晴天を祈りながらサイトに戻って、就寝した。
翌朝3時半起床。味噌汁に餅投入のメシを作るが、揚げ玉を入れすぎて気持ち悪くなって全部食べ切れなかった。無念。小屋の水場(見た目水道になっているけど美味しい水でした)で水を補給してテントを撤収。小屋の様子を見ると昨夜の宿泊者は3-40人といったところだろうか? 今日はここから文三郎尾根から赤岳への直登コースに進む。
樹林帯の登りが徐々に急になり、中岳のコルへの道を分けてしばらくすると辺りは砂礫と岩場のミックスした急斜面に変わった。ここから30分ほど、鉄網製の不安定な階段の登りが続いた。網が腐食していたらやばいな、と思いながら一歩一歩着実に登っていく。半ばで後ろを振り返ると遠くの峰が見える。よく見ると槍ヶ岳が突き出ていて北アルプスが全て見えていることがわかった。どうやら今日の展望は最高らしい。はやる気を抑えて進む。
中岳からの道を合わせると高山植物が目立つようになってきた。コマクサ・タカネツメクサ・チシマギキョウ・コゴメグサなどが咲いている。と同時に登山道も砂礫から岩場へと変わり、赤岳直下の岩稜をよじ登るようになる。頂上小屋から降りてくる人たちのとすれ違いで時折渋滞する。なかには礼儀のない集団登山の一行もいたりして、ちょっとゲンナリする。
最後の岩場をハシゴで乗り越えて赤岳山頂到着。頂上からの眺めは最高で、北アルプス・中央アルプス・南アルプス・富士山を冬のようにすっきりと見渡すことが出来た。東側のいつも登っている辺りは逆光と霞みのせいでほとんど見えなかった。間近の八ヶ岳連峰の連なりもゴジラの背骨に乗っているようで面白かった。北八ツにも近いうち登りたいと思う。
ひとしきり感動を味わったのち、赤岳を後にし阿弥陀岳へと向かう。まずは中岳まで、降って登り返す。多少の渋滞はあるも岩場の面白さや、高山植物と四囲のクリアーな眺めで楽しい道のりだ。鞍部で一息ついてアンパンを食す。
中岳からは前方の阿弥陀岳が力強く見えた。振り返ると赤岳が逆光にまぶしく、東側からは少しガスが出始めたようだ。編笠・権現も隠れ始めている。かといって天候が急変しそうな気配はなく、じりじりと照りつける日差しの下、今度は阿弥陀岳とのコルまで降って、再び登り返しになる。阿弥陀岳へは45度くらいの斜度のある岩場ののぼりで、テントの入った装備が肩にこたえる。ほとんどの人はコルに荷物を置いて空身で登っていた。
阿弥陀岳山頂着。岩場の登りからは想像できない土の平地になっている。この時間になるともはや遠望はきかなくなり、八ヶ岳自体も逆光気味であまり映えなかった。テントサイトで隣だった人がいて、御小屋尾根は人が少ないから気をつけて、と声をかけてもらった。ほとんどの集団は中岳とのコルから阿弥陀岳を往復するのだろう。人が少ないのがいいんです、と応えて御小屋尾根へと山頂を後にした。
ハイマツと岩場を乗り越えると砂礫の急斜面が現れた。つかまるところも少なく、重荷を背負っているので思うように歩けない。しゃがんですり足で進まざるを得なかった。30分ほどで急斜面も終わり登山道は樹林帯へ。そこそこ急なくだりが続いて不動清水にたどり着いた。冷たい湧き水でのどを潤す。
麓に近づくにつれキノコや山野草が増えてきた。長野県の森は豊かだ。途中ビニール袋に入ったベニテングタケが大量に捨ててあって、毒だとわかっておいて行ったのだろうけど、ビニールぐらい持って帰ったらどうかなー...
裾野のなだらかな道が続き急に車道に飛び出た。別荘地を20分ほど歩いて美濃戸口にたどり着いた。いまどき別荘地などというものがまだ成立するんだ、とヘンに感心した。
バスの時間まで40分あるので八ヶ岳山荘で風呂を借り、さっぱりした後でビールをいただく。うまいなぁー。すっかり酔っ払いに変身してバスに乗り、ザックに残ったウィスキーを飲みながら茅野まで移動した。
んでもって、腹が減ったので駅の立ち食いでカレーうどんを頼んだら、順番を飛ばされた上に、うどんはレトルトのルーを目の前でダラーっとぶっかけたものだった。山から降りてきてまでレトルトかい? どうも長野のこうした愚鈍なところは嫌いだ。時刻表を見ると次の鈍行が2時間ないので、特急で小淵沢まで移動。いろいろな意味で腹の虫が収まらないので、小淵沢で再び肉ミソうどんを食す。山梨の愛想はよくて、気持ちよく立ち食いすることが出来た。あとは始発の鈍行でゆっくりとワンカップを呑みながら帰京した。

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