山に行こう 山行記録 編笠山〜権現岳

編笠山 権現岳

編笠山(標高2524m・山梨県)
権現岳(標高2715m・長野県)

2001年8月5日(日) 晴れのち曇り〜8月6日(月)曇りのち晴れ
テント1泊 同行1名

●ワンポイント

編笠山から見る八ヶ岳の重なり具合はなかなかのものです。この日は乙女の水が枯れかかっていて、水を得るのに一苦労でした。

●写真

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●交通

往路JR蒲田6:36 − 品川6:45
品川6:48 − 新宿7:06
新宿7:16 − 小淵沢9:35(あずさ91号)
タクシー小淵沢9:45 − 観音平10:05

復路タクシー観音平14:10 − スパシオ小淵沢14:20
徒歩スパシオ小淵沢15:55 − 小淵沢駅16:55(途中30分ほど食事)
JR小淵沢17:11 − 甲府17:50
甲府18:07 − 高尾19:35
高尾19:50 − 立川20:08
立川20:22 − 川崎21:17
川崎21:23 − 蒲田21:26

●山行

1日目(歩行時間3:27)
観音平10:12-雲海11:15-休憩10分-雲海発11:25-押手川12:09-休憩6分-押手川発12:15-編笠山山頂13:40-休憩50分-山頂発14:30-青年小屋14:55
2日目(歩行時間5:35)
青年小屋7:00-ノロシバ7:30-権現岳山頂8:25-休憩15分-山頂発8:40-三ツ頭9:40-休憩50分-三ツ頭発10:30-木戸口11:26-早乙女河原12:26-観音平13:40

●記録文

先週丹沢で出会ったおじさんに触発されて一気に気運の盛り上がった私は、ある意味衝動的に(?)八ヶ岳へ向かうことになった。おじさんの話によると、長野側より山梨側の方がすいている、とのことだったので、編笠山〜権現という一泊コースで汗を流すことにした。同行者は嫁さんのBである。
今回は新宿発。小淵沢まで行くのでちょっと贅沢して、特急を利用することにする。一人片道6000円弱。7:16発の特急は時期が時期の日曜だけにほぼ満席。半分以上は登山者だろうか? 関係ないけどこの電車、トイレと冷房がどこかでつながっているのかなんなのか、えらく便所くさい。ナントカしてくださいJRさん。
晴れたり曇ったりの車窓に一喜一憂しながら小淵沢到着。標高が800mあるだけあって、なんとなく涼しい。駅前の観光案内所で明日のくだり口、甲斐大泉で風呂に入れるところがないか聞くと「町が違いますから」とにべもなく却下。う〜ん、気分悪いよおばさん。げんなりしつつも仕方ないので駅前のタクシー乗り場へ。一路観音平へ向かう。
タクシーのおじさんの情報によると、甲斐大泉には歩いていける入浴施設はないとのこと。小淵沢から車で5分くらいのスパティオ小淵沢を通りがかりに紹介される。それから、登山前の情報として、本日幕営予定の青年小屋近くに沸いている乙女の水はほとんど枯れかかっているとの話が聞けた。小屋泊の人はみんな水を持ってあがってくれ、と小屋から言われているようだ。二人合わせて2.5リットルしか水を持っていない我々はかなり動揺。容器があれば延命水を汲んであがることも可能だけどそれもだめ。仕方ないので観音平のグリーンロッジで、自販機のお茶を何本か買って登る事にする。ちなみにこのグリーンロッジはちょっと設備の整った山小屋のような宿泊施設。小淵沢に夜到着して居酒屋で一杯引っ掛けてグリーンロッジに泊まり、翌朝編笠へ出発する、というようなグループもあるらしい。宿泊は山小屋同様雑魚寝になるようだ。観音平までのタクシー料金は3000円強也。あと、西岳の方に下山してもいいお湯があるらしい(鹿の湯だったかな...?)。
グリーンロッジからまずは雲海に向けて出発。林の中をなだらかに登っていく。道端にはママコナやツリガネニンジンなどが咲き乱れている。さしてきつい個所もなく雲海に到着。二組のパーティーが休憩していた。途中ほとんど人ともすれ違わず、非常に穏やかな雰囲気。空模様はよい方向に向かっているらしく、日差しが強くなってきた。ただし霞が強く見通しは効かない。
雲海から押手川までもほとんど一本調子のなだらかな登り。止まっていると涼しいが、歩くとかなり汗だくになる。この時間になると、下山組ともいくつかすれ違うようになった。押手川では二組のパーティーが休息していた。われわれもBが持参してくれたみかんなどで一服。押手川からは青年小屋へのまき道と編笠山へ向かう道が分岐している。空の状態もよくなりつつあるようなので、直接編笠山へと向かうことにした。
押手川からは急速に傾斜が増していく。だんだん高度も上がってきており、同行のBに私のほうが遅れがちになってきた。かなりペースを落としているのだが、呼吸が苦しく、何度か休憩を取りながら進む。徐々に樹林が低くなり、日当たりもよくなってくると、いく種類もの高山植物が道端に見かけられた。下山途中の人の話では、頂上の見晴らしはかなりよかったとのこと。霞がかっているので遠望は効かないだろうが、八ヶ岳核心部の見え具合はかなり期待できそう。一時の苦しい呼吸も忘れてなんとなく足早になる。
森林限界を超えて這松と巨大な岩屑の中をしばらくいくと編笠山の頂上に到着。赤岳、権現岳、阿弥陀岳、硫黄岳、遠くは蓼科山などの連なりに思わず歓声を上げる。小淵沢方面は雲の切れ端が吹き上げてきており、上空は晴れたり曇ったり。見晴らしのきくのは、北側だけだった。それでも初めてこの山に登ったわれわれは大満足。ばしばし記念写真を取りまくる。頂上はなだらかな岩屑の集まりで、唐突だがなんとなく北海道の羅臼岳の頂上直下を思い出した。あたりは雲の高速な動きに合わせて晴れたり曇ったりを繰り返し、晴れれば暖かいが、曇ると寒いという状態。だんだん曇りの時間が多くなってきたので、名残を惜しみつつ青年小屋へとくだった。
青年小屋への道は這松の中を行く。石楠花の葉っぱがみずみずしく立派だった。道の最下部は、巨大な岩屑のなかを、落ちないようにペンキを辿りながら進んだ。足場が悪いためかすぐそこに見えている青年小屋までが(早くビールが飲みたいのに!)けっこうじれったかった。小屋前到着。包丁の音が聞こえる中、幕営の登録を済ませる(一名500円也)。ついでにビール2本と日本酒1本を購入。両方とも1本500円だった。乙女の水はちょろちょろながらもなんとかくめる状態とのこと。これで一安心&グリーンロッジで買ったお茶の意味は一体...?
テント場には誰もおらず、場所は選び放題。あとから一組やってくるも、本日はわれわれも含めて二組だけの模様。まずはビールで乾杯。もともと山には行かない嫁さんもご苦労様でした。さて、乾杯を済ませ、テントを張るより先に、まず水場を確認しに行ってみる。確かに非常に細いながらも、樋から水が流れている。今年は水不足というが、こんなところにも影響してるのかな? コッヘル一杯の水をくむのに1-2分かかった。
そして本日の夕飯はスパゲッティ。一回目はミートソース、二回目はフライパンでにんにくと唐辛子を炒めてペペロンチーノ。味は双方よかったんだけど、やはり気圧の関係かスパゲッティに芯が残ってかたかった。それから暗くなるまでは持参の梅酒とウィスキーをちびちびと。暗くなったので、シュラフにもぐりこんだ。夜は隣のテントからの地響きのようないびきで何回か目が覚めるも、それ以外は、とくに寒くもなく快適な一夜を過ごすことができた。
ちなみに青年小屋は、30人くらいの子供の団体客と、あとは何組かのパーティーが宿泊した模様。外から眺めると、テレビなどもあって世界陸上なんか中継している。うーむ...小屋の人が「うるさいから離れてテントを張って」と言っていた発電機だけど、いつのまにか止まっていて、深夜は静かなものだった。
翌朝は4:30起床。あたりにはガスが立ち込めている。昨日と同じような天気なら、今日も昼前には晴れるのかな? 朝飯は味噌汁にもちを大量投入。ちょっと煮込んでみる。これは案外うまい。二人であっというまにたいらげてしまった。なんだかんだやっているうちに時間も過ぎて7時に出発。霧の中を権現岳へ向かう。どうやら青年小屋泊まりの子供30人も一足先に権現岳に出発したようだ。
ノロシバまでの登りは樹林の中の急坂。ちょっとした岩場も現れ始める。ノロシバに着くと雲が吹き荒れており視界は数メートル。這松の生える様子から、登山道の左手は切れ落ちているように想像できる。
ノロシバを過ぎてギボシに取り掛かると険しい岩場の登りに入った。まー、よっぽど間違わない限り落ちたりしないだろうが、間違って落ちれば、間違ってしぬかもしれないような状態が30分くらい続いた。その間、ところどころある砂礫地にはさまざまな種類の高山植物が咲き乱れていた。写真をとりながら慎重に進む。実際はこの写真をとるときの姿勢と、呼吸の止めがけっこうきついのだが...
この辺りから他の小屋どまりの人とすれ違うようになり、岩場で何回か譲り合いながら進んだ。あとでBに聞くと、単調な登りよりも、こういった岩場ののぼりの方が楽しい、とのこと。けっこうスリル好きらしい...頼もしい限りだ。
そうこうしているうちに、岩場の緊張のせいかあっという間に、権現小屋に到着。営業中、の看板はあるも扉が閉まっていた。小屋へは入らず、間近に迫っているはずの権現岳へ向かう。数分で雲の中の権現岳に至る。視界はなんとか山頂の岩峰が見える程度。見通しはほとんど聞かない。昨日のようにもっと遅い時間のほうが、よかったのかもしれない。岩場を攀じ登って、最高点で記念撮影。天気がよければ足がすくむのかもしれないけれど、今日はほとんど高度感がなかった。残念。
さてここからは三ツ頭経由で甲斐大泉までの下り。3-4時間の長い下りになる。権現岳直下からはざれた急斜面を行く。振り返ると、岩峰の下に小さな社がある。この辺りの登山道も、さまざまな高山植物があふれていた。コケモモやらブルーベリーやらの実がなっていたので、ひとつふたつつまむと、疲れた体に酸味が心地よい。正面を見ると、いつのまにか高い層の雲が取れつつあり、遠くのほうに富士山の頭がぽっかりと浮いていた。
三ツ頭まで登り返すと、編笠や権現、赤岳が雲間に見え隠れするようになった。あー、権現に登るのがもう少し遅ければー。でも、この三ツ頭からの眺めもなかなかいい。1時間ほど休憩して、フリーズドライのカレーピラフを食すも、水を入れすぎたのか、雑炊のようになってしまった。Bは味はまあまあだというけど、味噌汁にもち投入の方がぜんぜんうまかったなぁー...
さて、ここで予定変更。ふもとの情報では甲斐大泉にはほとんど入浴施設がないとのこと。やはり汗だくになった私たちはひと風呂浴びたくなったので、往きとは別コースで再び観音平へくだり、途中のスパティオ小淵沢によることに。甲斐大泉への道を左に見送り、甲斐小泉方面への尾根へと進む。この尾根の下山はかなり長く感じられたが、ここも山野草の花盛り。辺りを無数の蝶が、花から花へと渡り歩いている。それに途中で編笠〜権現のラインが眺められ、昨夜幕営した青年小屋もよく見える。昨日今日と歩きとおした道を最後に確かめながら、あとはひたすら温泉と酒を目指して歩いた。
それから、尾根を外れて裾野に近づくと道もだんだん緩やかになり、途中延命水への分岐にたどり着いた。延命水は観音平から下った車道脇にもあってそっちは飲めそうだったが、こちらの延命水は、「けもの水飲用不可」と注意書きがあった。持参した地図には水場のしるしがあったが、最近は荒れてしまったのかもしれない。ここのベンチでしばし休憩ののち、もうしばらくくだると十字路に出る。まっすぐ行けば甲斐小泉だが、今日は右に曲がり観音平へ。ここから観音平までは、遊歩道のような道だった。
再び観音平到着。嫁さんもご苦労様でした。なんとか携帯の電波が通じるのでタクシーを依頼。その間、ウィスキーの残りをとりだし、ちびちびと腹に染み渡る感触を楽しんだ。スパティオ小淵沢で汗を流し、ビールで乾杯してしばし休憩。そのあと小淵沢駅までは徒歩30分弱。途中の店でカレーを食べたけど、これが妙にうまくて大満足。小淵沢では特急の指定席が2時間後までなく、それなら鈍行で、ということでワインやらトマトジュースやらつまみやらを購入して、例によって居酒屋状態で山行の余韻を楽しみつつ家路についた。

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