山に行こう 山行記録 アサヨ峰

アサヨ峰

アサヨ峰(2799m・山梨県)

2005年8月5日(土)晴れのち曇り〜6日(日)晴れのち曇り
テント泊 単独

●写真

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●交通

往路JR蒲田6:12 − 東京6:33
東京6:38 − 新宿6:52
新宿7:00 − 甲府8:27
山梨交通バス甲府駅9:00 − 広河原11:05

復路長谷村バス北沢峠12:30 − 仙流荘13:20
JRバス仙流荘15:58 − 新宿駅20:21
JR新宿20:30 − 東京20:43
東京20:48 − 蒲田21:09

●山行

1日目(歩行時間2:57)
広河原11:15-広河原峠入口11:33-途中休憩15分-広河原峠13:56-休憩18分-広河原峠発14:14-早川尾根小屋14:45
2日目(歩行時間4:34)
早川尾根小屋4:20-途中休憩15分-ミヨシノ頭5:49-休憩10分-ミヨシノ頭発5:59-アサヨ峰6:33-休憩45分-アサヨ峰発7:18-栗沢山8:12-休憩36分-栗沢山発8:48-仙水峠9:40-休憩55分-仙水峠発10:35-仙水小屋11:01-北沢長衛小屋11:25-休憩40分-北沢長衛小屋発12:05-北沢峠12:15

●記録文

●1日目

今年は(珍しく?)仕事が忙しくまとまった夏休みを取れそうにない。とりあえず1日だけ休みが取れたので、さわやか信州号で北アルプスでも行こうかと思って予約の電話をかけると、8/4発の便は既に満席の模様。仕方ないので行き先を南アルプスに変更。この分だとどこも混んでいそうだから、マイナールートの早川尾根を歩いてみることにした。アサヨ峰は以前から気になっていた山でもある。
ちょっと贅沢をし、朝7時のスーパーあずさで新宿を出発。8時半に甲府に到着した。広河原行きのバスはザックを並べて順番待ちするシステムになっている。空き時間の間、朝マックして腹ごしらえをする。駅前にいると暇そうに見えたのか新聞記者にタクシーのことについて2−3分取材を受けたりした。そうこうしているうちにバスがやってきた。広河原行きのバスは計3台出たようだ。林道崩落のおかげで足が遠のき、広河原に行くのは3年ぶりとなる。夜叉神峠を過ぎると、車窓からガスをかぶった白根の山肌が見えた。
広河原到着(運賃1900円也)。自分以外の人はみな大樺沢へと向かうようだ。こちらは30分ほど林道歩きで、広河原峠への登山道へと到着。山道へと入っていく。ここから広河原峠へは3時間くらい。高度差800mの登りだ。少し入ったところで出発の準備をしている年配の単独行と挨拶を交わす。沢沿いの道は草がちで、石にコケが付いているので滑りやすい。流れの水を汲んでのんでみると冷たくてうまかった。
沢を離れて道は尾根に出た。急坂で高度を稼いでいく。タマゴタケのきれいな幼菌があったので、夕飯用に採取する。休憩してアンパンをかじっていると、入り口で会った人が追いついてきた。同じく早川尾根小屋までだと言う。
道は針葉樹林の中を延々登っていった。林床にはギンリョウソウが咲いている。平地の気温は35度の予報だったが、尾根には涼しい風が吹いており快適だった。天気のほうは晴れから曇りに移りつつある。甲府の午後の予報は雨。昨日はかなり激しい雷雨だったらしいから、今日も用心したほうがいい。
途中2人連れが下山してくるのとすれ違う。やがて、前方にガスが現れて斜度が緩くなると、そこが広河原峠だった。林道を出て2時間半。思っていたよりもあっけなく到着した。広河原峠は樹林に囲まれている。居合わせた年配の御夫婦と会話する。昨日は薬師小屋に泊まったとのことで、今日は早川尾根小屋までらしい。神戸から来たそうだ。
早川尾根小屋まで樹林帯を歩く。はじめ急だが後は緩く登っていった。付近には終わりかけの石楠花の花がある。30分ほどで質素なたたずまいの早川尾根小屋に着いた。麦茶を1杯御馳走になり、テン泊の受付を済ませた(400円也)。テン場は10張り程度可能な広さ。この日は6張。みな単独のようだ。水場の水量は豊富で、飲んでみると甘くて冷たい水だった。トイレも清潔で、実に好ましいテント場だ。
持参のビール、日本酒を飲みながら、テン場で時間をもてあましている人たちと会話する。みな山好きで、早川尾根や小屋のよさを論じ合ったり、コースの情報や山への登り方のこだわりなど、いろいろな話題で盛り上がることが出来た。話している中で、小屋では2年前のビールが無料で飲めるらしい情報を得る。しかしさすがに2年前のビールを飲む気にはならない。
テン泊の人の中に一人白人が混ざっていて、うわさでは今朝夜叉神を出て、14時には早川尾根小屋に着いていたとのこと。やはりパワーが違うようだ...コンソメスープにタマゴタケを入れて煮ていると、その外人さんが珍しそうに覗き込んで、ちょっと会話することが出来た(彼とは明日の行程で一緒に歩くことになるのだが...)
心配していた雨はまったく降る気配がなかった。夕飯は例によって米をたいてコンビーフをおかずにして食べた。6時になると小屋でミニコンサートがあるというので聞きに行って見る。小屋のご主人がフォルクローレやオカリナで郷愁たっぷりの演奏を披露してくれた。見れば小屋泊まりの人は10人程度。この演奏のリラックス効果もあって、ぐっすり眠ることが出来るだろう。自分もちょっとうとうとしかけてテントに戻る。
その後は隣のテントの人と暗くなるまで会話。気のよい人で、焼酎とつまみのおすそ分けまでもらってしまった。
●2日目

夜中はぐっすり眠れた。2時半ごろ隣の人が起き始めたので、こちらも起床する。テントの外に出ると満天の星空が広がっていた。歩けるようになるのは4時半くらいとの情報。ゆっくり出発の準備をする。朝食はこれまた例によって、昨日のあまり米でお茶漬けにした。水を汲みに行くと、暗闇の向こうに鹿の目が光っているのが見えた。
4:20にテント場を後にした。しばらくはヘッドランプをつけて歩き始めたが、15分もすると夜が明けて辺りは明るくなった。1時間ほど樹林帯の登りが続いた。バイケイソウ、オトギリソウ、シャクナゲの花を見ることが出来た。ミヨシの頭までには小ピークがいくつかあり、一時的に展望を得ることが出来る。逆光の中に鳳凰山が見えて、地蔵岳のオベリスクがよく目立つ。
複数回のアップダウンを経て、6時頃ミヨシの頭に到着。ようやく森林限界で、ハイマツと岩くずの続く道となった。ここで、昨日テント場で一緒だった外人さんに追いつかれる。「富士山が見える」と嬉しそうに教えてくれた。お返しに「あれが八ヶ岳だよ」と教えてあげたのだけど、わかったのかな? 先を急ぐのか、彼はパワフルな歩みで先へと進んでいった。
自分はミヨシの頭でじっくりと山の景色を堪能した。北岳、甲斐駒が間近に見える。振り返ると鳳凰山の向こうには富士山も見える。八ヶ岳のシルエットもぼうっと浮かんでいる。前方には目指すアサヨ峰の向こうに、仙丈岳のおおらかな稜線が見えた。そうこうしているうちに、甲斐駒のほうから湧き上がってきたガスが、どんどんアサヨ峰のほうに流れ込んできたかと思うと、あっという間に景色は乳白色一色になってしまった。昨日の展望は8時半までだったと聞いていたので、アサヨ峰までは持つかと思ったが甘かったようだ。6時過ぎ、ミヨシの頭で今回の展望は見納めとなってしまった...
ハイマツの岩稜を進みアサヨ峰到着。時刻は6時半。思ったより早く到着したようだ。せっかくの岩峰なのだけど、山頂はガスの中で展望なし。おまけに風が強い。寒いので岩陰に入って休憩を取った。しばらくすると、さっきの外人さん(キャシー)が戻ってきた。甲斐駒まで行くつもりだったようだがこの天気なので、やめにしたそうだ。他に年配の人が一人加わって小1時間ほど3人で会話。彼がフランスから来たこと、東京に住んでいることなどを聞く。やがて、キャシーが一緒に北沢峠まで歩こう、というので、それも面白そうだなーと思い、2人でアサヨ峰を後にした。
栗沢山まではちょっとしたアップダウンのある岩場を行く。晴れていれば展望がよいのではないだろうか。足元を見るとトウヤクリンドウが花期を迎え始めていた。50分ほどで栗沢山到着。ここもハイマツに囲まれた展望のよさそうな山頂。残念ながら今日は何も見えない。あとから昨日広河原峠であった神戸の御夫婦も合流。キャシーを中心にしばし盛り上がる。
皆前後して栗沢山を出発。急坂の岩場を下っていくと、眼下に岩が大量に積みあがった仙水峠が見えてきた。やはり外人さんが珍しいのか、すれ違う人が声をかけてくる。ちょっとした会話にみな顔がほころぶ。やがて一瞬樹林帯に入り、すぐに仙水峠に到着した。北沢峠のバスまでかなり時間があるので、ここで1時間以上の大休止。キャシーといろいろ話すことが出来た。驚いたのは彼が27歳だということ。こちらは35だというと、逆に向こうも驚いたようだ。キャシーによると、日本人は実年齢より相当若く見えるらしい。
仙水峠を出発。しばらくは膨大な岩塊の転がる中を行く。3年前にK氏とここを歩いたことを思い出す。道はやがて樹林帯の中へ。10分ほど行くと、仙水小屋の脇に出た。冷たい流水で顔を洗うと実に気持ちよかった。さらに降り続けて、沢を丸太橋で渡りながら行くと、北沢長衛小屋の前に着いた。バスまで時間があるので、キャシーの提案でここで休憩していくことにした。ビールを飲みながら、下山を喜び合い、しばし歓談...
出発し林道を5分ほど登っていくと北沢峠だ。思ったより人が少ない。バスの切符を買い、広河原へ向かうキャシーとはここで分かれた。いつか再会することがあるだろうか...?
戸台口へのバスは人数がそろったので定刻より早く臨時便が出た(運賃1100円+荷物代200円=1300円也)。車窓からは鋸岳の岸壁を見上げることが出来た。荒々しい岩峰は眺めていて飽きることがない。
今回戸台口へ下りた理由は2つ。ひとつは3600円で新宿までいける高速バス(南アルプス号)があること。もうひとつは仙流荘という宿で汗が流せることだ。反対の広河原に降りると風呂がない(シャワーはあるようだけど)。戸台口についてみると、仙流荘は立派な施設だった。温泉ではないけど、汗を流せるだけで十分だ。バスが来るまで2時間以上あるので、休憩室でビールを飲みながら遅い昼食にした。栗沢山からの下山途中で会った御夫婦がいて、モロキューを御馳走してくれた。冷たく冷えたきゅうりがおいしかった。
ひと寝入りして起きてみると外は大雨が降ったようだ。バスが来る時分には丁度やんでくれた。お土産に漬物やとれたてのトウモロコシを購入。乗車率20%くらいのバスで快適に東京へと戻ることが出来た。ひとつだけ誤算があったのは、高速のサービスエリアでは酒を売っていないということ。これでは補給が出来ないではないか! 普段車に乗らない私らしい失敗だった...

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