2002年5月1日(水) 曇り〜5月2日(木)曇り
テント1泊 単独行 幕営地:三条の湯(三条小屋)
●ワンポイント
山頂は樹林の中。シャクナゲの株数は目を見張るものがありました。花期は6月よりも早めだとか。展望はハゲ岩から得られます。三条小屋のテン場は沢沿いで水が豊富。お風呂に入れるのも魅力です。ただし、体は洗えないので下山後の入浴には向かないかも。 |
●写真
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●交通
往路 | JR | 蒲田6:30 − 川崎6:33 |
川崎6:38 − 立川7:36 | ||
立川7:46 − 青梅8:16 | ||
青梅8:28 − 奥多摩9:05 | ||
西東京バス | 奥多摩駅9:40 − 御祭10:20 |
復路 | 西東京バス | 丹波13:45 − 奥多摩駅14:40 |
JR | 奥多摩15:11 − 青梅15:48 | |
青梅15:57 − 立川16:27 | ||
立川16:35 − 川崎17:32 | ||
川崎17:32 − 蒲田17:35 |
●山行
1日目(歩行時間2:55) |
御祭10:20-塩沢橋11:43-林道終点12:45-休憩10分-林道終点発12:55-三条の湯13:25 |
2日目(歩行時間6:56) |
三条の湯4:45-カンバ沢6:15-北天ノタル7:05-休憩15分-北天ノタル発7:20-飛竜権現8:05-飛竜山8:25-休憩10分-飛竜山発8:35-飛竜権現8:56-ハゲ岩9:00-休憩40分-ハゲ岩発9:40-前飛竜山10:11-熊倉山11:07-サオラ峠11:38-丹波バス停12:46 |
GW山行第2弾ということで、今回はハイライトとなる幕営山行。行き先は飛竜山に決めた。この山、いつも雲取の隣にぎざぎざとした姿を見せていて、名前からしてもなんとなく気になるではないか。新緑や奥秩父の深い雰囲気も楽しみ。三条の湯幕営なので、温泉にもつかれる。2日目の予報が晴れなのを見込んでの出発となった。 |
5/1は一応平日ということで、青梅線の登山客は思ったより少ない。丹波行きのバスも若干立ち客がいる程度。御祭で数名の登山者と一緒に降りる。奥多摩駅では日差しがあったのだけど、ここまでくると曇天に。準備運動を済ませて最後方からの出発。少し先の後山林道に入る。 |
30分くらいは廃材などあって普通の林道歩き。それを過ぎると、徐々に山深くなり、後山川を高巻くように進む。ツツジと新緑がかなりいい。数十メートル下の川も小さな滝がいくつもあって、変化がある。バイクや車もいくらか通るけど、この季節歩いて損はない林道だ。途中、同じバスで降りた2グループを抜く。 |
あっという間に中間地点の塩沢橋到着。距離が長い分斜度がなく疲労も少ない。このあたりからさらに山も深くなる。植林のない、巨大な広葉樹の森が新緑に輝いている。多少小雨がぱらつくけど、それが木々にいっそう瑞々しさを与えていた。景色に目を奪われ、普通の林道歩きにあるような苦痛は何も感じないまま、林道終点到着。 |
ここから三条の湯までは30分の山道。カレーパンとおにぎりで腹ごしらえをして進む。道はいったん沢に下る。いくつかの木橋を渡りながら新緑のトンネルの中へ。このあたり、三条谷の広葉樹林は山梨県の森林百選に選ばれているとのこと。生命の息吹を猛烈に感じながら行く。 |
三条の湯(三条小屋)到着。小屋は斜面の小高い位置にあり。見下ろした沢沿いにテントサイトがある。沢と新緑に囲まれて雰囲気がいい。幕営の手続きを済ませて早速設営(幕営料500円也)。時間が早いので、一番乗りだ。すぐ隣に三条沢が眺められる位置に張る。水場の蛇口をひねると豊富な水が流れ出てくる。まずは清冽な水をごくごくと飲み、次にウィスキーで水割りにして味わう。んっまい。 |
お次はお楽しみの温泉へ。古いガイドブックには「浴槽がひとつしかないので男女で時間を分けてはいる」、とあったが、今は建てやが男女別になった模様。石鹸・シャンプー厳禁の洗い場で浴槽から温泉を汲んで汗を流し、湯につかる。適温のぬるぬる感のあるお湯に見知らぬ人と山を語りながらの、癒されるひと時だった。入浴料300円。浴槽は4人くらいでいっぱいになる大きさ。 |
風呂をあがって涼みがてら小屋前のいすでビールを一杯(350cc500円也)。山の中でこんな贅沢なひと時はない。小屋の人が話しているのを聞くと本日の宿泊者は20人程度。GW中多いのは5/3だけで他は空いているという。 |
日暮れまで時間はたっぷりあるのであたりを散策。新緑を見上げ、沢の流れを聴く。目の前の切り株でミソサザイが忙しく跳ね回って鳴いている。小屋前の斜面には上から降ろしてきたのだろうか、シャクナゲが一株花をつけていた。 |
それから風呂で知り合った年配の幕営者にコーヒーをもらったり、酒をお燗して飲んだりした後、17:30くらいにもう一度風呂に入って体を温めた。上尾から来た人がいて、今日は林道終点に車を置いて雲取日帰りだという。ふーん、そんなことも出来るんだ、と感心。 |
結局本日の幕営数は4張。日が暮れる寸前に夕食をとって冷えないうちにシュラフに入る。沢の音と遠く鹿の声が聞こえるだけの夜。ちっとも寒くない、静かな一晩を過ごすことが出来た。ちなみにこの幕営地、唯一の欠点はトイレが小屋にしかなくて、用を足すのに数十メートル登降しなければならないこと、だ。 |
翌朝3時くらいから目がさめて4時前起床。ストレッチをした後、味噌汁にもち投入の朝食をとる。明け方前の空を見上げると靄がかかっている。月も星も見えない。予報が外れたのか、曇天のようだ。ちょっとがっくりくるも、「まー、湿った奥秩父もよいではないか」と気を取り直してテント撤収。薄明の中、まずは北天ノタルへ向けて標高差800mの登りにかかる。 |
高度を上げるにつれ密度が濃くなる霧に、巨大な森の木々が亡霊のように浮かび上がる。広葉樹の森は深くなる一方だ。荷が重いので歩みは鈍重。水場のカンバ沢までが遠い。小休止を取って黒糖をかじりながら進む。着いたカンバ沢の源頭には岩の隙間から小さな清水が流れていて、冷たい水が臓腑に凍み渡った。しばらく先に同じような水場がもうひとつあった。水を補給しておく。 |
馬酔木の花を見ながら針葉樹も多くなり、なんとなく空も明るくなってきた頃、奥秩父縦走路との合流地点、北天ノタル到着。右は雲取山、左は目指す飛竜、さらには甲武信・金峰へと続く道だ。雲取を5時に出てきた若者が休んでいて、あと一泊で甲武信まで行く予定だという。昨夜の雲取の避難小屋は7−8人だったそうだ。かなり腹が減ったのでジャムパンを食す。 |
ここから飛竜権現までは40分ほど。軽いアップダウンがある中をいくつかの桟道を渡りながら進む。巨大な針葉樹林の中に、朽ちた老木、苔むした倒木などがいくつもあり、奥秩父らしい原始的な景色となる。途中飛竜山への近道があったが、とりあえず飛竜権現まで行くことにする。 |
倒壊した社のある飛竜権現にザックをデポ。空身で飛竜山に向かう。針葉樹とシャクナゲの中をひと登りすると、あとは山頂部の平坦な道で、空を見上げると薄日が指し始めて、雲の向こうに太陽が透けて見えた。 |
飛竜山頂到着。山梨百名山の標柱がある。頂きは平らな樹林の中だが、前面が多少切り開きになっている。今日は一面真っ白な雲。でも、たまに日差しが出てきて暖かい。晴れるか? という期待を胸に飛竜権現まで戻ってハゲ岩を目指す。 |
ハゲ岩。縦走路からちょっと突き出た岩場だ。空の高みははれていて日が差している。もう少し低い部分の雲が取れてくれれば、展望が得られそうなのだけど...暖かいのでしばらく待ってみることにする。2人の登山者が来て、同じように晴れるのを待つ。瞬間、金峰山が雲の上に浮かんだ。そしてすぐにかき消され。またしばらく待つと、南アルプスの峰々が白く浮かんで消えた。 |
丹波発13:45のバスを目指してハゲ岩を後にする。雲の中の前飛竜へと急斜面を降っていく。しばらく登り返して着いた前飛竜は標もなく、意識しなければ通過してしまうような山頂。展望もない。この辺りで、丹波から出発してきたらしい登山者が現れ始める。少し先に岩岳尾根への分岐があったが、こちらは危険進入禁止になっていた。 |
サオラ峠へとどんどん降る。景色が奥秩父から徐々に奥多摩のそれへと変わっていく。今日は木曜で丹波山温泉「のめこいの湯」は休み。できれば民宿とかの日帰り温泉を探すつもりなのだけど、コースタイムはオーバー気味。急いでくだる。 |
サオラ峠は広場のようで直進すれば丹波天平、左に行けば三条の湯、右が丹波だ。そういえば、昨日三条の湯の道標にはサオラ峠への道は通行困難、とあったけど、こちらには何も情報がない。 |
丹波へと落ち葉の堆積の中を走って降る。膝が痛い。明日は職場の宴会山行で丹沢・大山があるのであまり無茶も出来ないのだけど。この辺りからは、日帰りの登山者も多く現れ始める、がいったいどこのピークを目指すのか...? いや、ピークを踏むことだけが登山ではないか... |
そうこうしているうちに丹波山村の斜面の上に出た。ほっとする。登山道と斜面の畑の間にタイヤを積み上げた柵が延々続いている。犬にもワンワンほえられたのだけど、どうやらシカ除けらしい。それにしてもこれだけ大量のタイヤ、なにかと害がありそう... |
舗装路に出てしばらく、丹波バス停到着。バスまであと1時間ある。吊橋で丹波川を渡って、風呂がないか聞いて回るも、「のめこいの湯」以外には日帰り入浴施設はないとのこと。こんなことならもっと山でゆっくりすればよかった。丹波をちょっとなめてかかってた。しかたなく釣り施設の売店で酒を買ってバス停に戻る。 |
まぁ、それでも酔い酔いになって気分は上々。丹波から奥多摩駅へと向かう。風呂に入るのも面倒くさくなり、もってきていた汗拭きシートで体を拭いて着替える。これでもずいぶんさっぱりだ。いつものお店でカレーパンとソーセージパンを買って、電車の中で一気に胃袋へ。時間が早かったので、平日のラッシュに巻き込まれる寸前に帰宅することが出来た。にしても降り急いだダメージで膝が痛い。明日の大山は果たして...? |