山に行こう 山行記録 火打山〜妙高山

火打山 妙高山

火打山(標高2462m・新潟県)
妙高山(標高2454m・新潟県)

2002年8月25日(日) 曇り〜8月26日(月)晴れのち曇り
テント1泊 単独行
幕営地:高谷池(8/25)

●写真

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●交通

往路JR蒲田5:40 − 東京6:02
東京6:26 − 長野8:04
長野8:12 − 妙高高原8:48
川中島バス妙高高原駅9:00 − 笹ヶ峰9:41

復路頚南バス燕温泉14:16 − 関山駅14:33
JR関山14:40 − 長野15:39
長野15:56 − 東京17:40
東京17:51 − 蒲田18:13

●山行

1日目(歩行時間5:51)
笹ヶ峰9:51-黒沢橋10:41-休憩9分-黒沢橋発10:50-高谷池13:05-設営50分-高谷池発13:55-天狗の庭14:18-雷鳥平14:49-火打山15:15-休憩21分-火打山発15:36-雷鳥平16:04-高谷池17:02
2日目(歩行時間6:00)
高谷池発5:10-黒沢池6:10-休憩5分-黒沢池発6:15-大倉乗越6:41-妙高山(三角点)8:26-休憩45分-三角点発9:11-妙高山(最高点)9:20-休憩15分-最高点発9:35-光善寺池10:26-天狗堂10:39-途中休憩10分-黄金の湯12:20-入浴25分-黄金の湯発12:45-燕温泉12:50

●記録文

夏山シーズンももう終わり。近頃のご時世で仕事も暇で、また休みが取れたので火打山/妙高山に登って高原情緒を堪能しに行くことにする。早朝の長野新幹線で長野まで行き、直江津行きの電車に乗り換えて妙高高原まで進む。朝の新幹線はすいており、いつも鈍行ばかりの旅なので、今日はとても楽チンだ。
妙高高原駅前は閑散としていて、笹ヶ峰行きのバスに乗ったのは自分も含めて3名だった。市街地を抜けた後はペンションや旅館、スキー場の間を抜けてどんどん山深い道となって、急に駐車場に飛び出たところが笹ヶ峰(運賃1000円也)。運転が豪快だったのでちょっと気持ち悪くなった。駐車場には100台くらいの車がとまっている。山だけでなくキャンプ場や乙見湖に来ている人も多いのだろう。
立派な登山口をくぐってまずは黒沢橋を目指す。この時間から登る登山者はほとんどおらず、下ってくる人の方が多い。道は大した傾斜もなくて木道が続く。湿っていて滑りやすい。地面はぬかるんでいる。1時間ほどで黒沢に出会う。持参の地図には水場とあるが、水量の多い川で地元の人の話ではあまり飲用には適さないようだ。ここで水を汲むつもりだったけど諦めて更に上へと歩を進める。
十二曲りから富士見平までは急坂。日が射して暑くペースが上がらない。足元は湿っていて滑りやすい。富士見平で黒沢池からの道を合わせると道はかなり平坦になる。ガスが出始めて今日は展望は望めそうにない。ここから高谷池への道はかなりぬかるんでいて、ところどころ水溜りのようになっている。昨日入った登山者が多いようで、木道がある箇所もすれ違いが大変だ。足元にリンドウやキリンソウといった秋の花が現れ始めるとやがて高谷池到着。人が大勢休憩している。日帰りの人も多いようだ。
高谷池ヒュッテで幕営の手続きを済ませる(400円也)。高谷池のほとりの幕営地は快適で、今日はそれほど混雑もなさそうだ。水は池の水を煮沸して使うのだけど、これは飲んでみると土臭かった。しかも夏のこの気温でお湯は飲みたくないし...よくよく考えればガスの残量がそれほどないのであとで小屋でペットボトルの水を買い求めることにする。ともあれ設営を済ませ、火打山へと向かう。ガスが出てるので明日のほうが展望を得るにはよさそうだけど、明日いっぺんに火打〜妙高と登るのはきつそうなので。
高谷池のほとりを木道を伝って回り込む。ガスのかかった高谷池とヒュッテ辺りの眺めが幻想的だ。少し登って高山植物の咲く緑のじゅうたんの中を進む。美しいところだ。その先の平原が天狗の庭で、大小の池塘が点在している。晴れていれば妙高山が眺められるポイントのようだ。足元にはオヤマリンドウやウメバチソウ、ミヤマアキノキリンソウなど幾種類もの花が開花している。
天狗の庭の淵を歩いてやがて道は火打山への登りへと変わる。ところどころ木道や木段が整備してある。やがて右手には雷菱の断崖が見え始めた。このあたりから火打山まであたりはミョウコウトリカブトの大群落が続いて一面紫の花畑になっている箇所もあった。ヤマハハコやウサギギクも咲いている。ガスが出ているので雷鳥平で雷鳥に出会えるかと思ったが、この人出なのでどこかにお隠れになっているようだ。
火打山山頂はガスの中。景色が見えなければ単なる平たい山頂に過ぎない。3時を過ぎたので訪れる登山者もほとんどいない。一服して往路を戻った。下山中振り返ると徐々にガスが取れ始めて、雷鳥平あたりで山頂がそのまあるい姿を現してくれた。天狗の庭辺りからはガスがかかりながらも火打山から雷菱の連なりが見え、その陰が池に落ちる様子が美しかった。高谷池に戻る途中、明日昇る妙高山の頭も見ることが出来た。
高谷池ヒュッテに戻りビール(500円也)と明日の飲料用に500mlのペットボトル4本を購う。水は高くて1本300円。痛い出費だ。ちなみにガスのカートリッジは販売していないとのこと。ともあれ幕営地に戻りまずはビールで乾杯。更に持参の日本酒で酔い酔いになる。夕飯はカレーの予定だったのだが、水煮沸でガスの残りが少なくなったのですぐにできる雑炊に変更。日が傾いて蚊が出始めたのでテント内で食する。
日が傾くにつれ濃いガスが出始めて、高谷池一帯がもうもうとした雰囲気になった。暗くなるまでそれを眺める。7時に就寝。本日の幕営者は4組だったが、夜中12時ごろに家族連れの一組が1時間ほど大騒ぎをはじめて眠れなかった。
3時過ぎにいったん目が醒めて4時に起きようと思ったら次に気がついたのは4時半過ぎだった。辺りはすでに明るくなり始めている。外を見ると、雲もなく夜のうちに晴れたようだ。カロリーメイトを食して急いで撤収。5時過ぎに高谷池を出発した。
木道の道を黒沢池へとしばらくのぼりが続く。朝露に濡れたオヤマリンドウがきれいだ。途中ロープのある箇所などもあるが危険ではない。やがて道はくだりになって、濡れた笹原の滑りやすい坂になる。前方からはまぶしいくらいの朝日が差し込んで、妙高山のごついシルエットが朝もやの中に浮かんでいる。しばらくすると黒沢池で、朝日に輝く池塘が美しかった。
黒沢池ヒュッテ前で休憩。朝飯は山頂で食べる予定で、ここでは行動食をとっておく。テントサイトは高谷池より小さくMAX10張くらいだろうか? 隣の湿原にはワタスゲが輝いていた。昨日の情報に寄れば、ここから妙高山までは急坂が続くとのこと。時間は余計にとってあるので、コースタイム通り行けばいい。夏休みから足の使いすぎで、膝の調子が悪い。8月は今日で計10日入山していることになる。
ぬかるんだ登りを大倉乗越へと進む。乗越からふりかえると昨日登った火打山が朝日を浴びてくっきりと見えた。このままの天気が続いてくれれば今日の展望は期待できそうだ。乗越からしばらく、ロープのある箇所を下って、左手に小さな池塘群が見えた。長助池というらしい。緑の湿原の中の宝石のようだ。この辺りからの妙高山は全山びっしり樹林に覆われているように見える。
妙高山と大倉乗越の鞍部到着。北側の谷筋で冷たい風が吹き降ろしてくる。陽があたっている場所は暑かったので、じっとしていると寒いくらいのこの風は急坂を登る身にはありがたい。ここから妙高山までは樹林帯の急斜面で、岩がごろごろしている中をふうふういいながら登ることになった。体力的には問題ないのだけど、膝の調子が悪いのであまり力も入れられず苦労する。途中開けたところで振り返ると、妙高山、そして白馬岳あたりの山脈が見え始めてやる気が出た。
やがて道が右に曲がるようになり、ようやく樹林を抜けて、巨大な岩塊をいくつか回り込みながら進むと、妙高山の山頂に到着した。小さな広場の隣の岩峰の上に上がると、遠く槍ヶ岳から近くは白馬岳までの北アルプスの連なりが雲海の上に浮かんで見えた。北アルプスをこんなに間近に眺めるのは初めてなので、これは感動だった。見れば登りたくなるのが人情というもの。次のターゲットは決まったも同然か...近くには火打山や焼山がちぎれた雲をたなびかせて峰を連ねていた。その先は日本海なのだろうけど、水平線は判然としなかった。東側は逆光でまぶしい雲海が一面に広がっていた。
山頂でラーメンを食して大休止。腹も目も充分に満腹となる。雲が湧いてきて北アルプスも隠れ始めた。荷物をまとめて妙高大神のある妙高山の最高点へと岩稜を移動する。妙高大神の辺りからは山頂一帯と火打山をセットにした眺めがよかった。この時間になると日帰りの登山者が上がってき始める。名残惜しいけれどもガスも上がってきたことだし、下山することにする。
しばらくは岩稜をまくように降るけれど、道はすぐに樹林の中へ。日差しが強くとにかく暑い。途中の鎖場は1箇所で、気をつけて降りれば危ないことはない。この辺りから道が徐々にぬかるみ始める。粘土質なので滑りやすい。途中近畿日本ツーリストの集団登山とすれ違った。30人だとか。
光善寺池という山中の池で小休止。どうしてこのように池がたくさんできるものだろうか、と不思議になる。更に行くと天狗堂なる祠のある広場があって、赤倉温泉、池の平温泉への分岐になっている。今日は燕温泉へと進む。このあたりから膝痛もひどくなり、いつものペースでは到底進めなくなる。道はやがて沢沿いに進み始め、風向きによっては硫黄臭い風が吹いてきて多少息苦しい。温泉が豊富な土地柄だけはある。
麻平との分岐辺りの渡渉地点では温泉の成分が川にも染み出ているのか、河床が白濁していた。しばらく行くと称明滝。数十メートルの高さのある滝で迫力がある。手ぬぐいをかぶった老人が休んでいるので挨拶すると、それはドイツ人だったので驚く。意外と日本語が達者だ。よくこんなところまで入ってくるものだ。しばらく休憩し更に進むと光明滝とガスの向こうに先ほどの称明滝をいっぺんに眺めることが出来た。
沢を高まいて、赤倉温泉の源泉小屋がある道をいく。滝までの日帰りハイカーも現れ始める。やがてスキーのリフトが現れてゲレンデの広い道をジグザグに下ると黄金の湯があった。無料の野天風呂だ。本当は評判のいい河原の湯に入るつもりだったのだけど、膝も痛いし、見ると風呂がすいているので、こちらにはいることにする。河床が白くなっていたようにここも白濁した温泉で、野天だけにいろいろ浮いてたり、こけが生えてえらく滑ったりもするけど、野趣は満点。お湯の質もよくてすっかりいい気分になってしまった。久々に濃い温泉に入ったという感じがする。こういう野天は北海道以来だ。
野天は野天でいいのだけど、やはり山行の垢を流すのには不適当なので、ちょっとくだって燕温泉の宿で入浴することにした。ネットで見た樺太館に寄ってみるが、日帰りはやっていないとのことで、えらいぞんざいな扱いで追い出された。いやーな気分を引きずって別のホテル岩戸屋という宿へ。こちらは日帰り入浴可で、気持ちよく風呂に浸かることが出来た(700円也)。露天風呂からは滝も見え、燕も飛び交っていい雰囲気だった。
風呂から上がって、近くのみやげ物屋でチューハイを買ってバス待ち。ツアー登山から脱落したという老人やら、さきほどのドイツ人やらに話し掛けられたりして時間を過ごす。観光客もそこそこ多くて、河原の湯や黄金の湯に入りに着ている模様。
燕温泉発関山駅行きのバスはがらがら。山行と温泉の余韻に浸りながら山間を降りていく。関山駅では5分くらいの連絡で長野行きに乗車。ジンを飲みながら長野まで田畑を眺めていく。長野からは新幹線で、自由席は混雑した。ワンカップを飲んで酔い酔いになって東京への帰路に着いた。

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