2005年6月25日(土)晴れ〜6月26日(日)晴れ
テント泊 単独
●写真
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●交通
往路 | JR | 蒲田6:16 − 品川6:25 |
品川6:29 − 新宿6:48 | ||
新宿7:00 − 松本9:38 | ||
松本9:44 − 穂高10:11 | ||
タクシー | 穂高駅10:25 − 一の沢10:50 |
復路 | タクシー | 三股14:42 − 穂高駅15:54(途中「ホリデーユー」に立ち寄り) |
JR | 穂高15:58 − 松本16:30 | |
松本17:18 − 新宿20:07 | ||
新宿20:11 − 東京20:24 | ||
東京20:27 − 蒲田20:48 |
●山行
1日目(歩行時間3:25) |
一の沢11:10-途中休憩5分-笠原12:05-途中休憩10分-常念小屋14:50 |
2日目(歩行時間7:57) |
常念小屋4:43-常念岳5:55-休憩28分-常念岳発6:23-途中休憩15分-2512峰7:34-休憩13分-2512峰発7:47-2592峰8:30-休憩7分-2592峰発8:37-蝶槍9:35-休憩37分-蝶槍発10:12-蝶ヶ岳ヒュッテ10:55-散策25分-蝶ヶ岳ヒュッテ発11:20-休憩10分-力水13:59-三股14:15-三股ゲート14:30 |
●記録文
●1日目 今年は空梅雨なのか雨の降る日が少ない。今度の土日も晴れる予報だ。しかも最高気温は30度以上。真夏と言ってもいいくらいの状態だ。せっかく晴れるのでどこか一泊で夏山を先取りだー、と候補に挙がったのが上越国境の朝日岳〜白髪門か、北アルプスの常念岳〜蝶ヶ岳だった。調べてみると谷川周辺は現在ブヨが出るとの情報。虫にたかられやすいたちの私は、その情報を得て、一も二もなく常念岳に出かけることに決めた。しかし、この選択がまったく意味のないものだったと言うことを後で知るのだった... |
装備はテント泊一式、食料2日分の他に、念のため軽アイゼンを持参。酒も担いで、荷は17K程度となった。 |
この時期さわやか信州号は穂高方面へは運転がない。仕方ないので交通費をちょっと奮発して往復とも特急を利用することにした。新宿7時発のスーパーあずさは満員。やはりこの天気、登山者も多い。松本まで出て、在来線の南小谷行きに乗り換える。10時過ぎに穂高着。ここでは数人の登山者が降りた。 |
駅前の登山案内所で残雪の情報を聞いてみる。1週間前下山してきた人は、「4本歯のアイゼンで十分なくらい、雪の量は例年より少ない」と言っていたようだ。尾瀬などは残雪が多いとニュースで言っていたが、こちらは思ったより雪は少ないらしい。 |
タクシーに乗って一の沢へと向かう。直前に相乗りを探していた人がいたらしく、ちょっと損をした。この運転手さんには帰りにも三股まで迎えにきてもらうことにした。約束の時間は14時半。明朝5時までに常念乗越を出発すれば、休憩時間も含めて丁度よさそうだ(明日の歩行時間は8時間の予定)。どの道16:26穂高発の在来線に乗れるように下山しないと、予約してある帰りの特急に間に合わなくなる。 |
一の沢到着。トイレと登山指導所がある。2−30台の車がとまっており、入山者の多さをうかがわせる。単独行が2人いて、出発の準備をしていた。自分もおにぎりを食べて腹を満たし、その2人の後から登山道へと踏み込んでいった。道すがらバイクで来たと言う大宮の人と2−3言葉を交わす。この人は常念〜一の沢のピストンだそうだ。 |
一の沢沿いの流れにつかず離れず、緩やかに登っていく。時折小さな流れが道を横切っているので、水の補給には事欠かない。1時間ほどで、笠原と呼ばれる場所を通過したことをGPSで確認する。特に標識もないので、このようなときにGPSで現在地が確認できるのは便利だ。道が川原に出て空が開けた箇所からは、常念あたりの稜線を眺めることが出来た。谷筋に雪渓が残っている。 |
とある場所で休憩しているとき、羽虫にたかられてチクっと痛みを感じた。どうやらブヨが発生しているようだ。しかも数が多い。ただでさえ虫に好かれるたちの私は、休憩もそこそこに出発しなくてはならなかった。そこから先、ブヨは増える一方で、炎天下の中一息もつくことは出来なかった。山に登っていると言うよりも、虫と格闘していると言う状況になってしまった。 |
すれ違う人を見ても、一様にブヨにたかられているようだ。この虫、たちが悪いのは耳やおでこなど、柔らかいところばかりを集中的に狙ってくるところだ。おかげでおでこや耳が相当腫れ上がっているのがわかる。下山してきた人の話では、山頂までブヨが付いてくるとのこと。これはひどい山行になりそうだ... |
いったん沢から離れ、しばらく急坂を登る。再び沢に合流すると、雪渓の横断があった。このあたりのブヨの発生はすさまじく、ちょっとでも滞っていると、あっという間に数十匹にたかられるような状況。ブヨは雪解けにあわせて発生するものなのだろうか? 本当は雪渓をゆっくり横断して、冷たい風で涼をとりたいのだが、そうもいかず虫から逃げるように歩いていった。アイゼンは特に必要なし。 |
本日下界の気温は33度の予報。水を飲むのもままならず、虫を追い払いながらふらふら歩いていく。ブヨの猛攻撃を受けつつ再び雪渓を横断。足元にはイワカガミの花も咲いているのだが、ゆっくり見ている余裕もない。小さな流れがあったので飲料水を補給し、ひたすら常念乗越を目指した。すれ違った人の話では、乗越は風があるので虫は少ないとのことだった。 |
樹林が途切れた、と思ったら、そこはもう常念乗越だった。突如前方が開け、雲の渦巻いている下に槍ヶ岳が見えた。逆光で岸壁が雪と岩のモノトーンになっている。左手には常念がどっしりとした山容で鎮座している。稜線に出たことでようやくアルプスに来たという気分になることができた。 |
小屋でテント泊の受付をする(600円也)。水は1リットル100円とのことだった。テント場は2箇所あって既に10張程度が設営されていた。小屋から離れたテント場のほうが広く、まだ2張しか設営されていなかったので、そちらに設営した。 |
持参のビールを飲み、日本酒をちびちびとやりながら、常念を見上げてくつろいだ。確かにこの辺りはブヨが少ないようで、今日はじめてゆっくりとすごすことが出来た。辺りを散策すると、足元にはコマクサ、ミヤマキンバイ、クモマスミレ(?)が咲いていた。 |
米を炊飯しコンビーフで夕飯を済ませる。夕暮れを眺めた後シュラフにもぐりこんだ。 |
●2日目 4時前に起床。隣のテントは既に朝飯の準備を始めている。テントの中でストレッチを済ませ、外を覗くと、多少靄っていはいるものの、晴れのようだ。ウィダーニンゼリーと菓子パンで朝食を済ませテントを撤収。小屋で水を1リットル分けてもらい、常念岳へと出発した。小屋の向こうには薄明の槍ヶ岳が見えている。 |
岩くずの中を切り返しながら高度を上げていった。傍らにはイワウメも咲いている。高度を上げていくにつれ空が明るさを増し、槍穂の山肌が鮮明になっていった。 |
1時間強かかって常念岳に到着。想像していたよりも狭い山頂だ。山頂そのものは数人も滞在すればいっぱいになってしまうようなところで、直下の尾根に人が何人か休んでいた。展望は申し分なしで、槍穂はもちろんのこと、大天井岳や燕岳、遠くは鷲羽、水晶、赤牛が見えた。これから歩く蝶ヶ岳への稜線も、眼下に続いている。 |
休憩していると、突如ブヨが出始めた。日照に行動が関係しているのか、瞬く間にものすごい数の虫がやってきて、皆の頭にたかっている。当然そばにいる人ともその話題となり、昨日だいぶ咬まれたという話をすると、ありがたいことにムヒを借りることが出来た。それにしてもこの高さでこれだけ発生していると言うことは、今日一日こいつらと付き合う羽目になることは確実のようだ。実に悩ましい... |
常念岳を後にし、岩稜を一気に400mほど降る。鞍部で虫を追い払いながら小休止。なかなか落ち着かない。そこから再び登り返すと2512mピークだ。振り返ると常念岳が大きい。こちらから見るとなかなかピラミダルな山容だ。常念から前常念への稜線は、なだらかに続いて気持ちがよさそうだ。ここで下界からガスが上がってきて、一時展望が利かなくなる。 |
2512mピークから降ると、道は樹林帯に変わる。足元にはショウジョウバカマが咲いている。また草原状になった箇所ではシナノキンバイ、オオサクラソウ、エンレイソウを見かけることが出来た。大きく登り返し再び道は下っていく。池の横を通ると雪渓のある箇所に出た。学生の集団が滑落停止の訓練をしている。雪渓を横断し、急坂を蝶槍へと登っていく。 |
しばらくすると道は這松帯となった。あいかわらずブヨが多い。やがて森林限界となり、稜線に出た。ひと登りした岩積みのピークが蝶槍だった。ガスが晴れて再び槍穂を望むことが出来た。少し逆光気味になった常念岳も見える。隣で休んでいた夫婦と会話。チョコレートを分けてもらう。蝶ヶ岳ヒュッテまでは30分くらいとのこと。ここで昨日のあまり米でお茶漬けを食す。稜線に出たので、ブヨは少し減ったようだ。 |
蝶ヶ岳まではなだらかな稜線が続いた。右手に槍穂の連なりを眺めながらの、おおらかな道だった。足元にはミヤマキンバイが大量に咲いている。蝶ヶ岳ヒュッテに泊まって、一日こんなところでぼうっとしているのもよさそうだ。蝶ヶ岳自体は目立った山頂ではなく、丘のようなところ。今回最後の展望をしっかり眺めておく。 |
蝶ヶ岳ヒュッテで水を1リットル購入(150円也)。帰りに寄る予定の「ほりでーゆー」の割引券をもらう。あとは三股までの一気の下山だ。下り始めると道はすぐに樹林の中に入った。前常念の稜線が樹間から垣間見える。雪渓は2箇所ほど。ほとんど夏道同然だ。 |
三股までの下山道は途中まで岩がちで、一の沢からの登山道よりも段差が大きいように感じた。小さなはしごもいくつかあった。今日登る人もいるようで、20人くらいはすれ違っただろうか? やはりブヨの出現数は異常なほどだが、場所によってはほとんど現れないところもある。そんなタイミングを見計らって、まめうちだいらの平坦な箇所で休憩をとった。このあたりにはオサバグサが大量に咲いていた。 |
まめうちだいらを過ぎると道は再び急降下となる。途中で足を捻挫したと言うひとが座り込んでいて、驚かされた。頼まれて、携帯の電話番号を教えてあげる。2時間たっても電話がなかったら救急車を頼んでほしいと言われた(幸いにも2時間後連絡が入って下山できたようだ)。 |
やがて傾斜もなだらかになり、本沢に架かる橋を渡る。沢沿いに歩いていくと三股の分岐を過ぎて登山口に着いた。一の沢と同じくトイレと登山指導所がある。水場もあって喉を潤すことが出来た。そこから10分ほど林道を歩くとゲートがあって、昨日頼んでおいたタクシーが待っていてくれた。時間通り14:30丁度着だった。「たいてい3-40分は遅れてくるものだけど」と言われた。 |
途中ほりでーゆーという日帰り入浴施設によってもらう。観光地らしい温泉施設で、さっぱり汗を流すことが出来た。タクシーはここに寄るのも含めて、穂高駅まで5000円でOKということにしてもらった。湯上りのビールで、運転手さんとの会話も弾む。 |
穂高駅には16時前に到着。運良く丁度来た在来線で松本に向かう。松本駅ではお土産と帰りの酒を購入。時間もあるのでカレーうどんで腹ごしらえをし、特急で東京への帰路に着いた。 |