2002年4月14日(日) 晴れ〜4月15日(月)晴れ
小丸小屋1泊 単独行
●ワンポイント
前袈裟、後袈裟は樹林の中。展望は小丸山からが一番よくて、皇海山が間近に見えました。小丸小屋は定員3名、詰めて5名といった広さ。水場は鹿フンが散乱しているので要煮沸と思われます。賽の河原下の避難小屋が新築されていたので、そちらのほうが快適かも。八反張は鎖があるので慎重に行けばOK。ひと気のない静かな山頂でした。 |
●写真
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●交通
往路 | JR | 蒲田5:30 − 上野5:58 |
上野6:04 − 高崎7:47 | ||
高崎8:04 − 桐生8:47 | ||
わたらせ渓谷鐵道 | 桐生8:47 − 大間々9:00 | |
大間々9:20 − 沢入10:03 |
復路 | 車 | 折場登山口11:30 − 沢入駅12:05 |
わたらせ渓谷鐵道 | 沢入13:11 − 水沼13:36 | |
水沼14:41 − 桐生15:20 | ||
JR | 桐生15:34 − 高崎16:18 | |
高崎16:30 − 上野18:05 | ||
上野18:08 − 蒲田18:37 |
●山行
1日目(歩行時間4:29) |
沢入駅10:15-登山口11:36-寝釈迦12:45-休憩25分-寝釈迦発13:10-避難小屋14:00-賽の河原14:06-休憩23分-賽の河原発14:29-小丸山15:25-休憩10分-小丸山発15:35-小丸小屋15:42 |
2日目(歩行時間4:47) |
小丸小屋発5:20-前袈裟丸山6:25-後袈裟丸山7:05-休憩18分-後袈裟丸山発7:23-前袈裟丸山7:58-休憩7分-前袈裟丸山発8:05-小丸小屋8:45-撤収35分-小丸小屋発9:20-小丸山9:30--休憩10分-小丸山発9:30-賽の河原10:22-折場登山口11:17 |
渡良瀬渓谷、寝釈迦、ツツジ、カモシカ、八反張、秘峰。様々なキーワードに惹かれて、初めての山域、足尾の袈裟丸山を目指すことに。鉄道を使っての旅は片道5時間。日帰りだとちときついので、小丸山先の避難小屋に泊まる計画にする。 |
風邪なのか花粉症なのか...前日からあまり体調がよくなく、ぐったりしたまま高崎で両毛線に乗り換える。宇都宮行きの電車は日曜のためかガラガラだった。桐生で降りると目の前がわたらせ渓谷鐵道のホーム。飛び乗ったらこれは大間々行きで途中で降ろされてしばらく待つ羽目に。体調がよくないせいか判断力が鈍っている。大量のおばさんハイカーとともに、間藤行きに乗車。観光客気分で渡良瀬渓谷を眺めながら行く。渓谷沿いの村々は春爛漫で、新緑が萌え、様々な花が咲き誇っている。 |
沢入で下車。他には登山者が1名と地元の人2人だった。もう一人の登山者は草木湖方面へ。自分は準備を整えて、桜の舞い散る中、渡良瀬川を渡る。地元のお爺さんに寝釈迦への道を尋ねると親切に答えてもらえた。ここから1時間強の車道歩き。植林帯の中、沢を眺めながら進む。他に歩いている登山者はなく、何台もの車に抜かれてちょっと疲れが...途中公衆便所と水がある箇所から道をそれると、ちょっとした「不動滝」を見物することができた。あたりには、スミレやヒトリシズカが咲いていた。 |
かなり汗をかいて塔ノ沢登山口到着。辺りには20台近くの車が止まっていた。ほとんどが群馬、栃木の車。トイレもあり便が良い。ここから山道になって寝釈迦を目指す。地元の年配の方とすれ違いながら沢沿いに雑木林の中を行く。今日はまだ涼しいけど、暑くても沢沿いに進むこのコースは気持ちよいに違いない。 |
やがて沢が詰まってしばらく登ると寝釈迦到着。岩を登ったその上に、全長数メートルの仰向けになったお釈迦様が目をつぶって横たわっていた。こんな山奥になぜこんな像があるのか。本当に不思議な気持ちになる。向こうには相輪塔という岩塔があって、これもシュールだ。 |
ベンチがあるので昼ごはんにする。あまりおなかがすいてない、というか調子が悪いせいか食欲いまいちで、おにぎり一個と黒糖を3つ食しておわり。沢の水を沸かして白湯にして飲む。あたりには日帰りで寝釈迦を見にきた地元の年配の方が多い。人々の雰囲気で違う土地にきたのだなぁ、ということがよく分かる。 |
ここからは沢を何べんも渡り返すように進む。美しい流れだ。高度を上げるにつれ、日陰に雪の名残が現れ始めた。やがて賽の河原手前の避難小屋到着。古い避難小屋の隣に、出来たてらしい、新しい小屋があって、中はまだ木の香りがぷんぷんしていた。トイレがあって、沢もあるのでここに泊まるのもなかなかいいかもしれない。 |
そこからひと登りで賽の河原に出る。ここで稜線に出て、袈裟丸山を眺めることが出来た。辺りには無数の石積みがあって、失った子供に会えるという伝説があるらしい。山自体が少し不気味な雰囲気を帯びてくるも、親しげな地元のおじさんとしばし歓談。和やかな情報交換のひと時を過ごす。 |
賽の河原を後にして、小丸山へと進む。開けた景色、何人かの人との会話もあって、徐々に元気も出てきた。日帰りのハイカーが向こうから帰ってくる中、道に雪が増え始めて、だんだん奥山の雰囲気が増してくる。軽いアップダウンを経て小丸山到着。ここからは、皇海山、庚申山、男体山、日光白根山の眺めがよかった。勿論、袈裟丸連峰も間近にぎざぎざと見えた。そこにいたご年配の登山者に聞くと、前袈裟〜後袈裟への登山は止めておけ、という軽いジャブをいただいた。 |
展望を楽しんだ後、小丸小屋へくだる。鞍部に黄色い鉄製のドーム型の小屋。天井は意外と低く1.5m程度。なかは誰かがこぼした石油の匂いが立ち込めていた。10年経っているのでそこそこ汚れているが、泊まるには問題ない。この様子だと今日は一人のようだし。あとは水場。小屋前の笹原を5分ほどくだると、藪の中に沢が出来ていて水場があった。辺りの地面にはシカフンが大量に散乱していてちょっとそのままでは...といった感じ。煮沸して飲用することにする。この量だと、時によっては涸れるかもしれない。 |
まずは、持参の日本酒で夜までのひと時を乾杯。酔い酔いになった勢いでもう一度小丸山に登って夕暮れの展望を満喫する。袈裟丸連峰の向こうに日が沈んで赤く染まってゆく。小屋に戻って夕食。余ってたおにぎりを雑炊にする。さらにジンを胃袋に投入し、トイレのために外に出て、すっかり暗くなった辺りにヘッドランプを照らすと10頭近い鹿の目がぴかぴかと光ってこちらを見ていた。夜はこの時期にしては寒くもなく、一人で快適に眠ることが出来た。ときおり鹿の鳴き声が、きゅーっとこだました。 |
目がさめたりうとうとしたりを繰り返して気がつくと5時。急いで起きて支度をする。食欲なしで、本日は朝食抜き。サブザックに荷を移して軽い身なりで出発する。小屋から先はだんだん雪が増え、前袈裟手前の急斜面は雪の中をよじ登るような格好になった。途中、皇海山、庚申山の眺めのよいところがあたったが、斜面が急なのであまり余裕もなく。腐れ雪なのであまり効かないのだけど、気持ち面を補う意味でもアイゼンを装着。高度を上げて傾斜が緩み、朽ちた木の多い荒涼とした笹腹の中を行くと、秘峰、前袈裟に到着。 |
夏のような陽気のせいか霧が立っていてあまり展望はよくない。それ以前に山頂自体が、樹林に覆われてひっそりとしている。登山者もない。静的な雰囲気を堪能し、次は後袈裟に進むことにする。後袈裟への道は、東村の名で八反張崩壊のため通行禁止、とある。緊張感を持って進む。 |
前袈裟〜後袈裟の稜線上にはまだまだ雪が残っていて、その上をさくさくと進むことが出来た。シャクナゲも多くて、時期が時期なら美しいことだろう。やがて傾斜も急になって、雪が消え八反張へ。確かに崩壊したところがずっと下まで切れ落ちていて危険だけど、鎖も張ってあるので、なれた人が慎重に進めば大丈夫なくらい。ゆっくり進んで通過する。八反張を越えた先で間違えて左に進んだせいで多少危険な目に合うも、右に戻って何とかルート復帰。急登をこなして後袈裟に到着した。 |
後袈裟丸山山頂は、何と言うこともない小ピーク。しかし、原生林の中の渋みを十分に味わうことが出来た。東斜面が伐採されていたけど、今日は蒸気のためそれほど展望は効かなかった。六林班峠への道を覗うといよいよ細くなって続いていた。いい加減何か食べないとまずいと思い、アンパンを半分ほど消化。調子は不思議と昨日より悪くない。山に興奮しているせいだろうか...? |
再び八反張を越し、前袈裟に戻り小丸小屋を目指す。気温があがってかなり暑い。雪も溶け出してぐずぐずになっている。時間がたつにつれ霧が晴れてきた。皇海山を越して日光連山の眺めもよくなってきた。 |
小丸小屋を撤収。飲料水を煮沸/補給するのに多少手間取る。その間小屋のノートにお礼と「山に行こう」ホームページの案内も記録させていただいた。一晩過ごしてみれば、やはり愛着の湧く小屋になった。 |
再び小丸山へ。日の加減か昨日より若干展望がいい。白根山、男体山、皇海山とも立派だ。庚申山もなべ底のようなユニークな姿を見せている。展望を楽しみながらカレーパンを食す。 |
賽の河原へ向かうと、途中で本日はじめての登山者とであう。10時も近いので、日帰りの登山者が上がってきたようだ。それにしても今日は夏のように暑くて、だらだらと汗が出てのどが渇いた。 |
昨日はツツジが全く見れなかったのだけど、賽の河原であった人の情報で、折場登山口には若干花があるとのこと。車道歩きが長くなるけど、そちらに進むことにする。月曜だというのに、存外登山者が多い。ほとんどが地元の方で、いろいろな話を聞くことが出来た。 |
弓の手コースは塔ノ沢コースとは違って尾根上の開放的な道。笹原の向こうに袈裟丸の大景観が広がる。赤城山も霞んだ向こうに巨体を浮かべていた。 |
折場登山口到着。途中で一緒になった地元のご夫婦としばしツツジ情報について歓談。今年は花芽が少ないとか、大滝辺りがちょうど満開だ、とかいう話を聞かせてもらう。それだけでなく、このあと2時間あるはずだった車道歩きを、ご夫婦の車に乗せていただいて、一気に国道まで。山腹に点々とツツジの赤を眺めながらあっという間に下山することができた。やっぱり群馬の人って親切なんだなぁ...ありがとうございました。 |
途中のお店でビール、チューハイ、トマトジュースを買って沢入駅へ。運悪く電車は数分前に出たばかり1時間強の待ちになってしまったけど、その間酒を飲みながら、沢入駅付近ののどかな情緒を味わうことができた。 |
帰りは水沼駅で下車して駅直結の水沼温泉へ。地元の方の話によると、衰退気味とか経営難だとか言う話。サービスはいいと思うんだけど...お土産にとうがらし入り梅茶と芋のお菓子を買って出た。わたらせ渓谷鐵道ののどかな雰囲気を味わいながら東京へ。袈裟丸連峰の野生を秘めた雰囲気と群馬の方の素朴な人情を満喫できた、充実の山行になった。 |
最後になりましたが、今回の山行では、下記HPの運営者様にメールで情報を教えていただきました。大変ありがとうございました。 ・渡良瀬逍遥 ・安蘇の山懐から |