山に行こう 山行記録 三ツ峠山

三ツ峠山

標高1786m・山梨県

1998年11月10日(火) 晴れのち曇り
日帰り 単独行

●ワンポイント

昼に山頂に立ったのできれいな富士山が見れませんでした。太陽の向きは朝がよいようですので、やはり泊まるのがいいんでしょうねぇ。

●写真

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●交通

往路JR蒲田5:17 − 川崎5:20
川崎5:31 − 立川6:25
立川6:46 − 大月7:40
富士急行大月7:51 − 河口湖8:46
タクシー河口湖8:55 − 三ツ峠入口9:10

復路富士急行河口湖15:19 − 大月16:12
JR大月16:16 − 立川17:24
立川17:34 − 川崎18:30
川崎18:36 − 蒲田18:40

●山行:(歩行時間4:56)

三ツ峠入口9:10-三ツ峠登山口10:03-富士見山荘11:13-三ツ峠(開運山)山頂11:25-(休憩35分)-山頂出発12:00-四季楽園12:10-(休憩20分)-出発12:30-木無山12:43-鉄塔13:25-八丁林道14:16-天上山14:38-河口湖駅15:01

●記録文

雨が多く暖かかった10月だったが、11月になるとさすがに冷え込む日が多くなって天候も安定してきた。透明な空気、紅葉、そして富士山の展望を期待して三ツ峠山に出かけることにした。平日なので立川から河口湖までの乗り入れ電車はなく、大月から富士急行に乗り換える。朝なので乗っているのは学生ばかりであった。地元のコンビニで購入した朝食をたべながら、単線の電車は民家の間を縫うように行く。軒下に干し柿などがつるしてあり田舎らしい風情だ。三つ峠駅が近づくと、今日の目標の三ツ峠山が思ったより圧倒的な存在感で立ちはだかっている。ここからの府戸尾根の眺めはちょっとしたものだ。三ツ峠山に至る登山道はここからも通じていて、所要約4時間だ。今日は日も短いのでアプローチの短い三ツ峠登山口のほうから登る。反対を振り返れば3分ほど雪化粧をした富士山が朝日を浴びて美しい。ところがそう思ったのもつかの間、富士吉田に着くころにはどこからともなくぐんぐん雲が沸き起こり、河口湖駅につくと富士山はすっかりお隠れになってしまった。これで楽しみの半分が奪われてしまったと思うとがっくりきた。
人もまばらな河口湖駅で降りる。駅前の道路を左手に行ってセブンイレブンで買い物を済ませるとタクシーに乗った。休日ならば三ツ峠登山口までバスが出ているはずだが、今日はタクシー利用にならざるをえない。三ツ峠入口まで頼むと運転手は「御坂みちを歩くのはみんないやがるよ」と言って登山口まで乗っていくように何回も勧めてくる。貧乏人の私は「歩くところがなくなるから」と言って断るのでやっとだった。河口湖駅から三ツ峠入口までの料金は2960円。まあ相乗りなら登山口まで乗っていってもよいのだが、と思いながらタクシーを降りる。ここで国道とわかれ、三ツ峠登山口までは”御坂みち”とよばれる舗装道を行くことになる。左手を見ると、黒岳方面へのしっかりした登山道があった。
たしかに紅葉の季節でもなければ、この舗装道を歩くのはためらわれたに違いない。しかし、このあたりの標高でちょうど色づきが最盛期を迎えているようで、車道歩きも苦にならなかった。時折河口湖をのぞむこともできるし、それほど悪くないや、と歩みも軽快になる。くねくねと折り返す道で1時間ほどウォーミングアップを済ませると三ツ峠登山口につく。ここからさらに細い舗装道を10分ほどたどるとようやく本当の登山口らしい場所に出た。平日というのに20台以上の車が駐車している。途中何台か車に追い抜かれたが、そのうちの一人に「下から登ってきた人でしょ? 速いねー」と声をかけられ、おもわず「金がなかったんで途中までしかタクシーに乗れなかったんですよ」と本当のことを言ってしまったが、言ってから失敗したと思った(笑)。
さてここからが本当の山登りだ、と気合を入れなおしていくと上からジープが降りてきた。作業用の車らしいが、この分だと山頂までずっと林道みたいなものかな、とすこしがっかりする。頂上の小屋に泊まったらしい人が三脚を担ぎながら降りてきた。富士山が隠れたので、撮影を終えて下山してきたのだろう。こっちはこれから登るのだからなんとなく損した気分になる。黙々と登り、ベンチのある個所を過ぎてしばらく、平たいところに出ると道路脇の斜面によく育った霜がびっしりとついていた。このさき道が二手に分かれていてどちらに進むか迷ったが、右は三ツ峠山荘、左は四季楽園に通じていて、すぐに合流する。早く富士山を見たいなら右手に進むのがよいだろう。左手に進んでいくと公衆便所や四季楽園の建物があってどこかの公園に来たかの錯覚をおぼえる。
板張りの崩壊しかかった富士見山荘の前を通り、NHKのアンテナ群を見上げながら砂礫の急斜面を10分ほど頑張ると三ツ峠山・開運山の山頂である。目の前にあるはずの富士山、南アルプスの遠望はきかなかったが、八ヶ岳、金峰山から大菩薩にかけての奥秩父、近くには黒岳・王岳・十二ガ岳など十分な展望を得られた。が、やはりNHKの朝のニュースに映る、という富士山の眺めを見れなかったのは残念である。小休止して湯を沸かそうと思うと鍋を忘れていることに気づき、これではカップラーメンを作れないので、下の四季楽園まで引き返して親子丼を購う。1000円也。四季楽園にはジュースやビールの自販機まであって、テレビやコタツもあったから山小屋と民宿の合いの子みたいな宿なのだろう。室内には富士山の写真や、昭和51年にメスナーが来たときの写真が飾ってあった。
四季楽園を出るとさっきまで晴れていた空が曇って、体感温度的に数度下がったように感じられた。木枯らしもふいて少し寒いのでさっさと下山することにする。木無山を経て府戸尾根を下り河口湖駅に出るルートをとることにした。3時間見ておけば十分な行程だ。木無山一帯はカヤトになっていて、晴れているときは気持ちよさそうだ。何箇所もベンチが設けられていて、休日の混雑ぶりが目に浮かぶようだ。右手を振り返ると日の差した大菩薩方面のカヤトが見えちょっとうらやましい。カヤトを過ぎるとところどころ急になりながらもごく普通の登山道を下ることになる。このあたりはカラマツの黄葉がよい。写真に写すが、帰ってみるとぜんぜん色が飛んでいてがっくりとなった。アプローチの長ささえ気にしなければ、三ツ峠登山口から登ってくるよりもここを河口湖から登るほうが、山道らしくていいかもしれない。ところどころ河口湖や富士吉田を眺望できるし、晴れていれば富士山もいい眺めだろう。
八丁林道と交差して斜度のない下りを、落ち葉を蹴り飛ばすようにずんずん下る。ちょっと登って小さな社のある天上山を過ぎるとすぐにロープウェイの駅があらわれる。売店は休業。駅舎も工事中のようで、なんとなくうらぶれている。まばらな観光客が河口湖の展望を楽しんでいた。こちらは登山スタイルであたりの雰囲気になじまないので、景色をちょっと見てすぐに下る。小さな園地をすぎると教会のような社殿の護国神社についた。手水を拝借して顔を洗う。ここから河口湖駅までは15分ほどの車道歩きである。最後に余談を。木無山付近の指導標にはロープウェイまで2時間10分とあったが歩いてみるとかなり飛ばしたにもかかわらず2時間かかっていて、府戸尾根の指導標はおおむねシビアだな、という気がした。休みながら歩けばやはり3時間はかかりそうだ。
予定より1時間以上早い15時に河口湖についた。土産物屋で終わりの近づいたブドウを見つけたので購入。甲斐路という銘柄で3房入って500円。安いのは色が悪いから、とはおやじの弁で、たしかに味はなかなかよいようだ。例によって富士急行の中では日本酒を2合胃袋に流し込み、大月からは爆睡して帰った。

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