山に行こう 山行記録 雨山峠〜鍋割山

雨山峠〜鍋割山

標高1273m・神奈川県

2003年7月26日(土) 曇り時々晴れ一時雨
日帰り 単独行

●写真

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●交通

往路JR蒲田6:23 − 横浜6:41
相模鉄道横浜6:47 − 海老名7:19
小田急海老名7:25 − 新松田7:58
富士急湘南バス新松田駅8:25 − 寄8:50

復路富士急湘南バス寄18:10 − 新松田駅18:37
小田急新松田18:41 − 海老名19:14
相模鉄道海老名19:23 − 横浜19:54
JR横浜20:02 − 蒲田20:21

●山行:(歩行時間7:19)

寄8:57-寄大橋9:40-途中休憩15分-寄コシバ沢11:38-雨山峠12:31-休憩9分-雨山峠発12:40-茅ノ木棚沢ノ頭13:24-鍋割峠13:46-途中休憩35分-鍋割山14:45-休憩17分-鍋割山発15:02-後沢乗越15:40-栗ノ木洞16:10-櫟山16:25-林道16:53-寄17:32

●記録文

今年は5月からずっと天気が悪く、しかもなかなか梅雨明けしない。心だけは高山に向けてはやっているのだけど、今週の土日も曇り時々雨の予報。かといって家でじっとしていても晴れたとき行動できないので、トレーニングもかねて近場に日帰りで出かけることにした。荷物は少し重くして14k。コースは寄〜雨山峠〜鍋割山〜寄という周回ルート。沢沿いに登り、いくつかの鎖場を経て山頂に至るという歩きでのありそうな道だ。人気の鍋割山だけどこのコースなら人も少ないに違いない。
ちなみに本来、一緒にトレーニングに出かけるはずだったW氏が朝電話をかけてきて、出掛けに雨がぱらついているということで、1時間出発を遅らせて様子をみたけれどもやっぱりリタイア。結果、今日も単独行となった。
前回の檜洞丸に引き続き新松田からバスに乗車。お隣の西丹沢行きの車内を見ると座席は半分くらい埋まっている模様。こちらの寄行きはガラガラで、結局終点まで自分ひとりの乗車だった。寄につくと青空が広がって日差しが照りつけていた。辺りは合宿にでも利用されるのかいくつかの運動場があった。
日差しの照りつける中、中津川沿いの車道をもくもくと進んだ。途中に公衆トイレがあったのでこれを拝借した。稲郷のキャンプ場を過ぎるとめっきり人気がなくなった。寄大橋は数十メートルはありそうな赤い橋で、緩やかにカーブする寄沢の広い河原を見渡すことが出来た。対岸に渡って辺りを覗ったけど、自分所有の古い地図にある寄小屋の存在を確認することは出来ず、代わりに不法投棄のごみが散乱していた。秦野峠への道はゲートで塞がれていた。
橋を戻ってやどりぎ水源林の中を進む。このあたりは企業や学校の出資によって整備されている人工林のようだ。周辺には管理棟やトイレなどの設備があった。いくつかの探索ルートが整備されていて、日曜には自然観察会が開かれているとのことだった。対岸の滝の辺りで子供達の集団が大騒ぎしているのが見えた。
林道がつまって山道に取り付いた。左手に寄沢の迫力ある音を聞きながら進む。やがて1度目の渡渉。橋はなく石伝いに渡らなくてはならないが、水量が多く、流れも速いので容易に渡れない。上流〜下流とうろうろし、何とか場所を定めて渡った。荷物も重いのでばねがきかず、対岸の浅瀬に着水する羽目になった。
しばらく行くと広い河原に出た。檜洞丸のゴーラ沢出合に似た雰囲気のところ。ゆっくり昼寝でもしたら気持ちよさそうな場所だ。そこをゴロ石伝いに進んで2度目の渡渉。何とか勢いで飛び越すがかなりひやひやする。さらに進むとすぐに3度目の渡渉で、ここは良い足がかりがなかったので、靴を脱いではだしで渡った。深さは膝下ぐらいで、冷たい水が心地よかった。対岸で足を乾かしながらカロリーメイトをかじった。
沢沿いの森を進んで再び渡渉。ここまでくれば沢もだいぶ浅くなってくる。渡った先はいったん高巻き道になって、ここは道自体が小川になって水没している中を進むことになった。
次は寄沢の支沢の渡渉で、対岸には鎖場があった。これを攀じてしばらく行った先が寄コシバ沢。ここが雨山峠と鍋割峠の分岐点だった。道標は全般に渡って雨山峠方面のものだけが妙に新しく整備されていた。鍋割峠へ通じる沢沿いの道は、ちょっと荒れ気味のように見えた。傍らに山百合が花をつけていたので、なんだか少しほっとした。
雨山峠へはいったん離れた寄沢へと山腹を横断していく。桟道が崩壊している箇所や、鉄板や鉄段がかけられている箇所が随所にあった。しかしおおむねコースはよく整備されているようだった。斜面から湧き出た水を飲んで一息つくと、はらわたに染み渡るうまさだった。
やがて道は寄沢の源流にたどり着いた。沢沿いなので荒天時は注意とか通行禁止とかいう掲示がある(同じような掲示がコース中何ヶ所かあった)。寄沢は両側が切り立った崖の中を流れていて、両側の斜面から水の流れ込んだ跡が幾筋もついている。大雨のときは大量に出水するのだろう。流木も多く、荒れた感じがする。今は小川のような状態だけど、ここに一気に水が流れ込む様を想像すると、背筋の寒くなるような気持ちになる。最後は道というよりも沢の細くなった中をじかに辿るようになった。沢が分かれて道に迷うような箇所もあった。ついに水も尽きて、鉄段を上ってたどり着いた先が雨山峠だった。
机がひとつあるので腰をおろして休む。特に展望があるわけではないのだけど、今までが今までだったので、なんとか人心地つくことが出来た。荷が重いとか、渡渉に苦労したとか、例によってキノコを見ながら歩いたとか、なんだかんだで時計は12時を回ってしまった。鍋割山まではあと1時間半はありそうなので、ここで弁当を食べた。少し余裕がなくなってきたので、水を2リットル捨てた。
雨山峠からしばらくはかなり踏ん張りの必要な急坂で、それをこなすと鍋割山へと続く尾根道に出た。箒杉沢の谷底から冷たい風が吹上げてくる。暗い沢を離れて上がった稜線はブナなどの自然林あふれる明るい気分の道だった。このあたりで幾つかのキノコを見つけたけれども、今日同定できたのはヌメリツバタケ。これは家で味噌汁にして食べると、味というほどのものは特になかったけれど、ヌメリとこりこりとした触感がなかなかよかった。
茅ノ木棚沢ノ頭を経て鍋割山まで、細かいアップダウンをする中に、3ヶ所ほど鎖場があった。そのうちのひとつは20mはあろうかという鎖場で、左腕に少ししびれを感じるくらいの手ごたえだった。途中、年中出ているのかはわからないけれども、小さな流れがあって水が補給できそうだった。
鍋割峠到着。鍋割山まで500mとある。この500mはなかなかの急坂で、すでに4時間登り続けた足にはこたえるものがあった。途中の崩壊地からは雲の中の蛭ヶ岳と檜洞丸、御正体山あたりが見えた。右手を見ると今朝方出てきた寄の集落や寄大橋が実に小さく見えた。やがて左にユーシンへの道を分けると傾斜も緩やかになって、鍋割山山頂部らしい、芝生状の丘陵地に出た。山頂まで行くと混雑して落ち着かない気がしたので、ここで大休止。西丹沢方面を眺めながら、日本酒で一杯やった。
30分ほどぼうっとしたのち出発。鍋割山の山頂はすぐそこだった。今日はどんよりと曇っているけれども夏にしては展望がよく、江ノ島や三浦半島、遠くは房総半島まで見ることが出来た。山頂は予想外に静かで小屋内の話し声のほかは3名しか見当たらない。まぁ、時間も時間で、なんとすでに時計の針は15時にさしかかろうとしている。ここで更に15分ほど日本酒をちびちびやりながら、草をついばむ鹿を眺めて放心した。そういえば登山者に会うのも今日はここが初めてだった。
あとは再び寄へと降っていくのみ。後沢乗越までは急坂を、酔った勢いでどんどん降っていく。15分ほどすると雨が降り始めた。だんだん雨脚が強くなってきたので仕方なくカッパを着た。後沢乗越を過ぎて栗ノ木洞へ登り返すと雨はやみはじめた。栗の木洞は展望のない頂。表丹沢県民の森から通じるコースが交わっている。雨がやんだのでカッパを脱いだ。
しばらく進むと櫟山。開けた丘陵地で秦野や江ノ島方面の眺めが良かった。雲間から再び日が差してきた。ここから先はおおむね植林帯で、何も考えずに降っていった。林道を横断しずんずん進むとやがて茶畑のある斜面に飛び出た。道端にタマゴタケの古いのがあって、そのうちの1本は何かの動物に食べ散らかされていた。
立体感のある茶畑の斜面を宇津茂集落へと下っていく。舗装路に出て痛くなった膝をかばいながらなおも降ると、朝出発した寄に到着した。都合よく酒屋があったので、ビールを購入。バスを待ちながら喉を潤す。更にチューハイを追加して、帰りも独りきり、新松田までの乗車となった。

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