山に行こう 山行記録 大室山〜加入道山

大室山〜加入道山

大室山(標高1588m・神奈川県/山梨県)
加入道山(標高1418m・神奈川県/山梨県)

2004年5月3日(祝) 曇り一時雨+強風
日帰り 単独

●写真

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●交通

往路JR蒲田6:32 − 横浜6:46
相模鉄道横浜6:57 − 海老名7:29
小田急海老名7:34 − 新松田8:09
富士急バス新松田駅8:25 − 西丹沢自然教室9:34

復路富士急バス西丹沢自然教室17:05 − 新松田駅18:12
小田急新松田18:25 − 海老名18:56
相模鉄道海老名19:03 − 横浜19:34
JR横浜19:42 − 蒲田20:01

●山行:(歩行時間5:38)

西丹沢自然教室9:45-用木沢出合10:05-犬越路避難小屋11:10-休憩10分-避難小屋発11:20-大室山12:37-休憩6分-山頂発12:43-加入道山13:39-休憩71分-加入道山発14:50-途中休憩5分-用木沢出合16:30-西丹沢自然教室16:55

●記録文

憲法記念日の5月3日は曇りの予報だった。4日5日は雨ということなので、少しはよさそうな3日に出かけることにした。ところが家を出ると、すでにあたりは霧雨状態。一瞬迷いつつも、「まぁ、天気が悪いのは朝方だけだろう」とたかをくくって、そのまま出発した。GWのためか心なしか電車もすいている。
新松田に着くと西丹沢行きのバスも10人程度並んでいるだけ。GWとは思えない人出の少なさだ。実は今日は高松山からジダンゴ山にかけて歩くつもりだったのだけど、この空き具合にひかれて急に気が変わって、普段は行くのが億劫な西丹沢まで出かけることにした。目的の山は西丹沢拠点でまだ登っていなかった大室山にしよう。
本来なら満員になるはずのバスは7割程度の乗車率。やはりこの天気で山行を中止した人が多いのだろう。しかしそれが正解だったのかもしれない。西丹沢につく頃には雨がぱらつき始め、天候は次第に悪い方向に向かっているように思われた。それでも西丹沢自然教室は、これから出発する人たちでにぎわっていた。バス以外の手段で入ってきた人も多いようだ。この天候を見て、目的をピークハントから本棚の滝見物に変更する人も見受けられた。
雨具を着て出発。今日は沢沿いに地面が見えないほどオートキャンプのテントが林立していた。往来する車も多く、いつもは静かな西丹沢が嘘のようだ。小雨の降る中、車に轢かれそうになりながら用木沢出合まで歩く。沢沿いの登山道に入ると急に静かになりほっとするが、あぶれたキャンパーが用木沢の奥の河原まで進出しているのにはちょっとゲンナリした。
木橋を渡りながら、まずは犬越路を目指した。今日はこの道をピストンで大室山に登るつもりなので、雨脚が激しくなるようなら引き返すつもりだった。水量が増えて渡渉できなくなれば、今日中に帰れなくなってしまう。そんな考えが頭をよぎると、ついつい歩調も早くなってしまう。沢筋を離れると急坂となり、息も乱れ、雨具の中にこもった熱気が苦しい。雨風も強まってきた。特に風が強く、雨よりも木や笹薮についた水滴が体を濡らしていった。下山してくる人も多く、皆ずぶ濡れで、憔悴した顔をして降りてくる。上はもっとひどいらしい。どこまで進むか、避難小屋まで行って考えよう。途中、支沢に迷い込みかけたオバサン二人組みを正しい道に戻してあげた。
笹をかぶった道で体を濡らしながら犬越路に飛び出た。避難小屋には先客、土地訛りの10名ほどのグループ。挨拶をするが満足な返事なし。仕方ないので黙々とカロリーメイトを食す。屋根があって風雨を凌げるというのはすばらしいことだ。一応休憩したことで萎えかけていた山頂への気持ちが再び動きだした。出発しそうな彼らを尻目に小屋を出た。
余談だが、小屋の裏手で用を足す人が多いのか、小屋の壁際が少し小便臭い。案の定このグプープのオバサン二人が小屋の裏手で用を足しているのを目撃した。登山道から1-2m、丸見えの位置で無神経なのやら何ナノやら。向こうも驚いただろうがこちらもオドロキである。
標識で大室山の方向を確認し小屋の裏手のほうへと登って行く。小屋前で挨拶を交わした年配(単独)の人が少し離れてついてきた。道は急坂になったり、平坦になったり、時には少し降ったりの繰り返し。明るい樹林帯だが、登るにつれ風雨、とくに風が強まって行く。地面もぬかるんで滑りやすく歩きづらい。ただ、時折立ち止まって辺りを見ると、吹き抜けて行くガスの中に浮かび上がるブナ林が幻想的で美しい。が、数分でも休むための間隙は無く、山頂はまだかとばかり馬力を上げていく。雨具のフードはとっくに外して頭はびしょぬれ。体も汗なのか雨なのか、相当濡れている。休憩すれば一気に体が冷えるだろう。こんな日でも歩いている人と何組かすれ違うから、つくづく山好きとは恐ろしいと思う。みな形相を変えて歩いている。
やがてバイケイソウが現れ始めた。山頂が近いのだろう。泥に足を取られ、風に横殴られながら、こうした景色を必死に眺めて登って行った。ブナとバイケイソウの中をぜえぜえいいながらたどり着いたところに標識があって、大室山の一角に出たことが分かった。ベンチでオバサン二人組みが休憩しているが、風で言葉も交わせず、そのまま大室山に向かった。晴れていれば雰囲気のよさそうなブナ林や花を散らすマメザクラの中をくぐって、平坦な道を数分行った先が大室山山頂。樹林の中の静かな、しかし今日は風のある山頂だった。晴れた日の新緑、紅葉の頃もすばらしいのだろうが、こんな荒天の山頂もまたすばらしい大室山だった。
ここで犬越路で挨拶を交わした年配男性がやってきた。聞くと、この後は加入道を経て西丹沢下山とのこと。自分も、ピストンの予定だったところを変更して、同行させてもらう事にした。もともと来た道を帰るのもつらいだろうなぁ、と考えていたところだったので、これは渡りに船、という感じだった。人柄のよいこの男性とは道々いろんな話が出来て、こんな荒天の苦しさも半分くらいになった気がした。
大室山の山頂から加入道方面に進むと木道があってバイケイソウの群落が綺麗だった。檜洞丸もいいが、大室山のはひょっとするとそれ以上かもしれない。ブナ林もこちらの方が立派かもしれないが、何しろ視界も利かず、頭も朦朧としているので、本当はどうなのか晴れている時にもう一度確認しなくてはならない。雨の日のブナの木は、樹液なのだろうか、幹から泡を吹き出していて不思議だった。
風が強く道が泥で滑りやすい。が、男性のほどよいペースと程よい会話で破風口まですんなり降れた。そこから20分ほど登り返した先が加入道山頂。ここは去年の3月に一度来たことがある。大室山で見たオバサン二人がここでも外で休憩していた。こちらはほうほうの体で避難小屋に逃げ込むと、中では若者3名と年配の方1名が休憩中。挨拶を交わして、空いたところでに座らせてもらう。タオルで体を拭き、乾いたTシャツに着替えて体を冷やさないようにした。
ここでは1時間ほどの大休止。同行の男性と酒を飲みながらの楽しいひと時を過ごすことが出来た。男性は車できているとことで、もしよければ乗って行ってもいいよ、との温かいお言葉をいただく。加入道を回ったことで時間も遅くなったので、とりあえずお願いします、とお答えする。この間、小屋には新たに3名グループと単独の老人が入ってくる。この天気とはいえGWなので、それなりに人出はあるのだ。
冷たくなってしまった長袖と雨具をエイっと着込んで出発。天気は少し快方に向かっているのか、先ほどよりも空が明るくなっていた。今日は1日このくらいの天気を予想していたのだが...今更言っても始まらず、白石峠へとぬかるんだ道を下って行く。途中、去年降った道志への道を分け、白石峠到着。辺りが濡れており風があるので休憩も出来ず、そのまま白石沢への下降路へと入って行った。
山肌に入ってすぐに風が無くなり、あとは足元だけに気をつけて降ればよかった。急降下30分ほどで傾斜も緩くなり、沢筋に出たところで水飲み休憩。更に降って、細かった沢の水量もだいぶ増えた辺りで舗装路に出た。皮肉なことに、この辺りで弱い日差しも射し始め、見えなかった山肌が現れてきた。思い通りには行かないものだ。しばらく行った先が用木沢出合で、ここはもうオートキャンパーの住処だった。ここまでの間、男性からは方々の山の話が聞けたのだが、何よりも今日、檜洞丸も登って(しかもそこで一杯やった後)大室〜加入道と歩いてきたことを知って、その健脚ぶり、そして精神力に驚いた。
朝よりも更にテントと車が増えたキャンプ場を見ながら、男性とああだこうだと批評しながら歩く。会話も弾んだせいか、車道歩きの疲労も無く西丹沢自然教室に帰着。着いたのは丁度5時前。がらがらの最終バスが止っていた。せっかくの男性のお誘いだったのだけど、温泉までお付き合いする余裕は無かったので、お断りしてバスで帰ることにした(同行頂きありがとうございました)。
バスは数名の乗客を乗せて発車。増発した後続のバスには誰も乗っていない。その後乗ってきたのも数名という、GWとは思えない状況だった。酒を買う時間が無かったので、目は冴え冴え、体は濡れて冷え冷えとなって、新松田到着。売店でワンカップとチューハイを買って、海老名に着く頃には何とか出来上がってきた私だった。

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