山に行こう 山行記録 両神山

両神山

標高1723m・埼玉県

1999年5月8日(土) 晴れのち雷雨〜5月9日(日)晴れ
テント1泊 単独行

●ワンポイント

通常1泊。麓の小屋や旅館に泊まれば日帰りも可能でしょう。清滝小屋では夜中「ブッポウソウ」と鳴くコノハズクの声が聞こえました。5月、アカヤシオが咲く頃は混むのか、鎖場で多少渋滞しました。日向大谷への交通はバスを乗り継がねばならず接続は要注意です。

●写真

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●交通

往路JR蒲田8:12 − 池袋8:58
西武鉄道池袋9:30 − 西武秩父11:03
西武観光バス西武秩父駅11:11 − 小鹿野町役場11:50
両神町営バス小鹿野町役場13:05 − 日向大谷口 13:48

復路両神町営バス白井差口11:03 − 小森11:38
小森11:45 − 三峰口12:00
秩父鉄道三峰口12:11 − お花畑12:33
西武鉄道西武秩父13:22 − 池袋14:41
JR池袋14:43 − 蒲田15:35

●山行

1日目(歩行時間2:40)
日向大谷口13:55-日向大谷14:20-会所15:02-清滝小屋16:35
2日目(歩行時間3:15)
清滝小屋4:45-一位ガタワ5:00-両神山頂5:40-(休憩)50分-両神山頂発6:30-清滝小屋7:10-(撤収)41分-清滝小屋発7:51-一位ガタワ8:05-白井差小屋9:00-白井差口9:31

●記録文

このまえ雲取に登ったとき、秩父方面に魚の背ビレのように見えていた両神山。その印象深い姿に、これは今年中に登ろう、と思ったのだが、今週の土日がそれなりの天気になりそうなので、金曜に思い立って登ることにした。同行者を何人かあたってみるけど、前日ということもあって都合が合わず、結局一人で行くことに。陽気も暖かくなってきたことだし、まーそれほど寒い思いはしなくてすむだろう。
池袋からレッドアローに乗って一時間半。秩父に着くと駅前は家族連れでごった返していた。駅前のロータリーをみるとちょうど栗尾行きのバスが止まっていたので、走って飛び乗る。両神山の登山口である日向大谷・白井差へはどちらに行くにも途中でバスを乗り換えなくてはいけない。今日は小鹿野町役場で1時間の待ち合わせだ。あたりに店もないので、持参のおにぎりを食べて時間をつぶした。次のバスで十数人のグループが到着して、待合所の登山者は全部で20人くらいになっただろうか。日向大谷口行きのバスに乗ると座席は満員になった。
曇り始めた空は終点まで持たず、日向大谷口につくと雷と共に雨になった。西の空が明るいので気にせずカッパを着て歩き出す。30分ほどで日向大谷。車道脇から階段を上がって民宿の前を通り山道に入っていくと、TV局が撮影をしていた。「あの山(多分両神のこと)にはよく登りますか?」ときかれ、正直に「初めてです」と答えるとそっけなく去っていってしまった。うーん、ちょっと残念(笑)。
そうこうしているうちに雨も上がり、歩いていると蒸し暑いぐらいの感じになってきた。登山道の脇には祠や社などが現れて、信仰の山なのだということがわかる。上からは登山者がひっきりなしに下山してくる。会所までの道はアップダウンが多くあまり高度を稼いだ気がしない。会所からは沢沿いに傾斜もついて、前日3時間しか寝ていないわたしはだんだんグロッキー状態になってきた。野草の花盛りなのが唯一の慰めになる。弘法の井を過ぎるとだんだん谷に人声がこだましはじめ、ひと登りで清滝小屋に着いた。
小屋は満員。聞くと今日は100人以上泊まるそうだ。やはり連休の余波だろうか。テントサイトにもすでに何張りかできていた。喧騒を避け、離れた位置に設営するが、すぐに学生グループが来てにぎやかになる(幸か不幸かそのまま夜中まで話し声が絶えなかった)。一息ついてビールを飲み始めると、また雨が降り始めた。雷もなっている。もう夏の気配がする。無理して外にいる必要のないわたしはそのままテントにもぐりこんで夕食にした。8時には早々に消灯。学生たちの話し声の合間から、夜中中ブッポウソウの鳴き声が聞こえていた。トイレに起きたとき空を見上げるとすっかり晴れあがっていて、星空が妙に近くに見えた。
4時。鳥の鳴き声を目覚ましに起床。ちっとも寒くない。湯を沸かしてお茶漬けをすする。腹ごしらえを済ませるとテントはそのままにして、小型ザックで山頂目指して出発した。一位ガタワまでは登り15分。途中の清滝は完全に枯れている。分岐点で右手に折れ山頂を目指す。鎖場が現れるのと前後してアカヤシオも姿をあらわし始めた。ちょうど満開のようだ。いくつかの鎖場を過ぎのぞき岩との分岐に着くが、日が昇るにつれどんどん条件が悪くなりそうなのでそのまま通過。そこからしばらくで両神神社の大きな社があった。そこからは尾根伝いの平坦な道になり、このあたりのアカヤシオがなかなかよい。妙に頑丈な休憩舎もある。
最後にちょっとした鎖場を登ると両神山頂。まだ誰もいない山頂の岩塊からひょっこりと突き出たアカヤシオが満開で、思わず歓声を上げてしまう。根元には土らしきものがまったく見えないが、この岩のどこに根を張っているのか本当に不思議だ。小さな社の脇を乗り越えるとそこに三角点がある。山頂は狭くで10人もいれば満員になりそうだ。あたりの景色をながめると、今日は春霞で遠望はきかない。それでも奥秩父・上州の山並みが朝日に照らされて美しい。やがて一組の夫婦が登頂してきて、おたがい写真などを取り合っていると、昨日のTV局の3人組がものすごい勢いで山頂を通過。八丁尾根へと突入していった。う〜んパワフル。
小屋の混雑と鎖場でのすれ違いのことを考え、6:30に山頂を去る。両神神社奥宮まではだれとも会わない。ここで往きとは違い清滝小屋の裏手へ出るルートを取る。こちらにも鎖場があるが、特にてこずらずに通過。このあたりから小屋泊組がどんどん登ってくるようになった。
静まり返った清滝小屋のサイトでテントを撤収。再び一位ガタワへ登り返し、ざれた道を白井差へ下り始めた。今度は白井差発の登山者がものすごい人数で下から押し寄せてくる。聞くと今日はなにかのお祭りで、山頂直下の休憩舎で先着500人に登山記念バッチを配るのだそうだ。早く登りすぎてちょっと損したのかもしれない。すれ違いで所々渋滞しながらも9時に下山。白井差小屋では甘酒のサービスの準備が始まっていたがこれも10時からで、二重に損した気分になる。白井差口には9時半に到着。バス待ちの1時間半の間、民宿で風呂を借りビールを飲んで大の字になって待った。
帰りのバスでは運転手や地元のじいさんと話しながら行き、昨日の雷で山火事になったらしいことを聞いた。途中には消火を終えた両神村の消防団が後片付けをしていて、それほど焼けたわけでもないという話を運転手としていたが、昨夜は一歩間違えればけっこう危険な状態だったのかもしれない。その他、紅葉の時期はバスが満員になって乗りきれないだの、最近雪は減ったが気温だけはやたら下がるようになったとかいう話をしながら、小森まで下り、バスを乗り換えて三峰口に出た。西武秩父の電車の待ち時間で日本酒を胃袋に投入したわたしは、こんにゃくをつまみながらいつのまにか爆睡モードに入り、レッドアロー号で池袋へと向かった。

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