2008年9月21日(日) 雨のち曇り〜2008年9月22日(月) 雨のち晴れ〜2008年9月23日(祝) 晴れ
テント2泊 単独
幕営地:白馬大池(9/21)
朝日小屋(9/22)
●ワンポイント
前半は雨にたたられ予定していた白馬はパスしてしまいました。が、そんな天候のおかげで、出会った雷鳥の数は20羽以上。稜線の紅葉もよく、雨にぬれた葉がきれいでした。雪倉、朝日周辺は数が少ないながらもまだ花が残っており、夏の花、秋の花織り交ぜて楽しむことができました。朝日小屋もいつかまた訪れてみたい小屋の一つになりました。蓮華温泉の湯もなかなか濃くてGOOD。下山後のカレーもうまかったです。 |
●写真
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●交通
往路 | JR | 蒲田22:57 − 大井町23:03 |
大井町23:12 − 池袋23:34 | ||
西武バス | 池袋駅23:50− 直江津5:50 | |
JR | 直江津6:55 − 糸魚川7:31 | |
糸魚川バス | 糸魚川駅8:15 − 蓮華温泉9:58 |
復路 | 糸魚川バス | 蓮華温泉14:20 − 糸魚川駅15:55 |
JR | 糸魚川16:38 − 越後湯沢17:57 | |
越後湯沢18:02 − 東京19:20 | ||
東京19:30 − 蒲田19:50 |
●山行
9/21(歩行時間2:40) |
蓮華温泉10:05-途中休憩5分-天狗の庭11:50-休憩10分-天狗の庭発12:00-途中休憩20分-白馬大池13:20 |
9/22(歩行時間7:39) |
白馬大池7:15-途中休憩5分-小蓮華山8:53-三国境9:30-途中休憩5分-雪倉岳避難小屋11:00-休憩45分-避難小屋発11:45-雪倉岳12:24-休憩16分-山頂発12:40-朝日岳分岐14:40-休憩5分-分岐発14:45-朝日小屋16:10 |
9/23(歩行時間6:05) |
朝日小屋6:15-途中休憩5分-朝日岳7:10-休憩20分-山頂発7:30-千代の吹上7:57-青ザク-9:16-休憩10分-青ザク発9:26-白高地沢10:41-休憩5分-白高地沢発10:46-瀬戸川10:43-兵馬ノ平12:18-蓮華温泉ロッジ13:00 |
●記録文
●1日目 9月頭に予定していた白馬〜雪倉〜朝日の三山。大雨の影響でその計画は奥大日1泊へと変更になったのだが、くすぶった火がすぐに燃えはじめ、この飛び石連休を利用してリトライすることにした。有休を活用しての貴重な山行だ。しかし、どうもこの山とは相性が悪い。(またも!)往復の交通の手配を整えたとたんに天気予報が悪い方にシフトしてしまった。出発前には一日目は曇り時々雨、2日目は晴れ、3日目は曇りの予報となった。この前中止した時は、予報は雨だったのに実際は晴れだったという悔しい経験をした。体も出来上がってきたことだし、多少の雨は覚悟の上、そして実際は晴れることを期待して出発することにした。 |
池袋から夜行バスで直江津市街まで移動すると、新潟県内はすでに雨模様。重い雰囲気の中、バスを降りて直江津駅へと移動する。途中コンビニに寄って食料を調達。直江津駅で1時間の待ち合わせののち富山行のローカル線に乗った。日本海を見ながら30強で糸魚川到着。雨空を眺めながら時間をつぶし、蓮華温泉行きのバスに乗った。このときはすでに結構な雨が降り始めていた。バスには、運転手、老車掌、私の3人だけ。2050円前払いで支払って、道々山のこと、地酒のこと、米のこと、糸魚川のことなど、車掌さんにいろいろ聞きながら蓮華温泉へと向かった。今年はどの木も実の成りが良いそうだ。 |
くねくねと登る山間の道を1時間強。蓮華温泉に着いた。小ぶりになりながらも雨は降り続いている。しかし、駐車場からは雪倉、朝日の稜線が雲の合間に妙に鮮明に見えている。車掌さんにお礼を言い、出発。蓮華温泉ロッジに来た観光客を横目に見ながら、白馬大池への登山道へと入った。登山道の脇には露天風呂への道がいくつかあった。年老いたらこんなところで何日か湯治するのもよいだろう。傍らにはウメバチソウが咲いている。 |
明るい広葉樹の中の登り。雨よりも、木々からの滴がぼたぼたと大きい。雨具のせいか、低気圧のせいか、夜行の疲れか、先週の木曾駒の疲労が残っているのか、なんだか足が重い。登り始めて1時間ほどで、今日は大池にテン泊で決まりのような気が半分してきた。1日目に白馬のテン場まで歩を進めておけば2日目が楽なのだけど...そこはまあ明日頑張ればいい気もする。予報は晴れなわけだし、悪くても今日歩くよりはましのハズ... |
針葉樹が現れ始めてしばらく行くと、天狗の庭と呼ばれる場所に出た。ガスの間から雪倉あたりの稜線が見えた。朝コンビニで買ったおにぎりを2つほおばる。さすが米どころ新潟。なぜか(?)こんなおにぎりもうまい。 |
雨は止んだが相変わらず樹林の下では滴が落ちて濡れながらの登り。しかしいい加減暑いので、雨具のズボンは脱いでしまった。ぽつぽつと紅葉が現れ始めて、さらに登るとハイマツ帯へと出た。その先にはチングルマの草紅葉が一面に広がっていて、白馬大池へとついた。 |
まずは小屋に行き、天気の情報を収集。午後は雷雨の予報らしいのだが、この凪ぎている曇り空は理解に苦しんでいる、とのことだった。「白馬でテント張るよりもここの方が気持ちいいですよ」とか、「白馬山頂から向こう側に下るのももったいないし」など、山荘の人もここに泊ってほしいのかな? まあ、無理することもあるまい、と今日は午後1時半で打ち切り。白馬大池にテントを張ることにした。大池に一番近い位置に陣取って、今夜のお宿が完成した。 |
小屋でビールを飲み、くつろぐ。登山道を見ているとほとんどが栂池から登ってくる人のようだった。蓮華温泉は交通の便が悪いからかな? 外に出て小屋の人と会話。「最近山に若い人増えましたよね〜」というと、「静かなブームですね」と小屋の人。高齢者が減ってきつつある一方、若い人が増えつつあるらしい。 |
汗で冷えた体が寒い。テントに戻り、持参の日本酒を飲みながら過ごす。二日目に炊くつもりだった米も、早く着きすぎたので、今日炊いちゃおう! 水に浸して炊飯の準備もOK! ちょいと眠くなったので、シュラフに入って昼寝。で、ちょいとのつもりが、隣のテントの音で目覚めた時は20時だった。夜行で眠れなかった疲れが出たかな。米は朝炊くことにし、パンやらウィダーインゼリーでそそくさと食事を済ませた。あー、テントは気楽だ〜。 |
などと思ったのも束の間、夜中には雨。結構大粒だ。やがて、背中や足がジンメリとしきた。どうやら浸水しているようだ。そういえばこのテント、グランドシートに微妙な穴があったんだっけ。ヘッドランプでみると、テントの中に水がたまっている。足の方が心配なので、ザックカバーを広げて脚先ごとシュラフを突っ込んだ。あとは朝どうなっているか。まあ、あんまりシュラフが濡れるようなら、明日は小屋泊まりでもよかろう。しかしよく降る。4時まで降っていたかな... |
●2日目 5時起床。雨は止んだが、外は濃密なガスだ。今日は晴れる予報だったのに、本当に天気予報はあてにならない。まずはテント内で昨夜の雨の処理。タオルを使ってたまった水を拭き外に吐き出す。ザック、マット、Tシャツ、グローブなどもびしょぬれ。このテント、何かの対策をしないと、もう使えないかもしれない。 |
早立ちしても仕方ないので、昨日から漬けっぱなしになっていた米を炊く。隣のテントは白人(♂)と日焼けした日本人(♀)のカップル。英語を話しているが何人だろう? 恐いので、挨拶だけして、あまりかかわらないでおく。炊きあがった米半分を梅干し茶漬けにして朝食。うん。梅干しうまいな! 小屋の人が通りかかったので、「天気どうですか」と聞いた。稜線で多少降られるかもしれないが、午後は回復傾向だとのこと。では、出発かな。というわけで、7時15分に白馬大池のテン場を後にした。 |
小蓮華への道は草紅葉がよかった。この赤は本当に目に焼きつく色だ。晴れていれば、眼下の大池も最高な道なのだろうが、登るにつれ雨も降り出してきた。しかし、こんな時には決まって雷鳥君が現れるのだ!! おお、いるいる。5羽の家族がもっさりと。かわいいなぁ〜。 |
風雨が冷たくなる。小蓮華、三国境あたりでは手や肩、腕が痺れはじめる。昨夜の雨でグローブが使えなくなってしまったのが痛い。白馬をピストンするなどという気力はもはやなく、そのまま雪倉岳の方へと歩を進めた。ザレた斜面を降っていく。降るにつれ雨もやみ始めてきた。そして、また雷鳥さんのご家族が。うーん、何べん見ても丸々とした姿が愛らしい。 |
ガスの中、紅葉を見ながらハイマツ帯を歩く。赤やオレンジに色づいた葉が美しい。一方、雪の残る辺りなど、まだウサギギク、シナノキンバイ、チングルマ、ヨツバシオガマなど夏の花が残っているのを見ることができた。少し明るくなってきて、前方を見ると雪倉岳避難小屋が見えた。白馬方面の稜線もかすかに見え隠れしている。 |
風があり寒いので小屋に入って昼食をとった。マルタイ棒ラーメン。寒い時はラーメン、これに限るな。小屋は10人くらいは泊まれそうな感じ。あくまで避難小屋、意図的に利用してくれるな、という注意書きがあった。朝日小屋から歩いてきたという単独のオジサンと会話。今朝は15人くらい栂海新道へ下りて行ったとのこと。へー、けっこう行く人いるんだ。小屋の食事は手作りでうまかったらしい。これを聞いて、シュラフの状況によっては素泊まりどころか、2食付きでも、などと考え始める。 |
避難小屋から雪倉岳への登り。ハイマツと紅葉、そしてまたも雷鳥ご家族が。今日はほんとに雷鳥オンパレードだ。もう20羽以上はみている。だれもいない雪倉岳山頂。静かなものだ。ガスは晴れそうで晴れない。景色も見えない、風も冷たくなってきたので15分ほどで山頂を去り朝日小屋を目指して歩きはじめた。 |
降り始めてしばらくすると一気に展望が開け始めた。「午後の晴れ」になったのだ。前方に朝日岳への稜線が見えた。振り返ると雪倉の山頂もよく見える。ああ、もう少し山頂にとどまっていれば、白馬岳もよく見えたのかも、と思ったが詮方なし。山頂で風が冷たくなったのはガスが取れる予兆だったのかな? ここでも雷鳥ご家族一行を見る。ミヤママツムシソウ、カライトソウ、トリカブト、シモツケソウなどがある。右手には雪の残る向こうに雪倉池が見える。降って行く途中で単独の若者と会話。栂海新道の黒岩山から上がってきたとのこと。姿にも苦労の様子がうかがえる。良い山行を! |
赤男山の稜線をまいて行きながら、ツバメ岩のガレ場を過ぎ、やがて道は湿原のなかに入って行った。小さな沢がいくつかあり水には困らない。頭を洗ってシャキッとした気分になる。小桜ヶ原の木道。この辺りから断続的に池塘やお花畑が現れる。イワショウブ、タテヤマリンドウなどが咲いている。夏の花の名残もあった。 |
朝日岳への分岐。水平道は登降が多い、と地図にあるので、ひょっとすると朝日岳に登って小屋に降りた方が良いのでは、とも思ったがあたりはガス。上の状況がわからないので、時間も考えて水平道を進むことにした。相変わらず、木道やら湿原が現れる。かと思うと急に森の中の道になりアップダウンを繰り返したりする。登ったとたんに同じ分降るような場面が何度も続く。しかも途中小雨が降り始め、またも雨具を着けての進軍となってしまう。花が咲いている時期なら良い道なのだろうけど... |
いい加減うんざりしたころ道は再び日差しの中へ。そして、どうやら朝日平への最後の登りへと出た模様。ちょっとした鎖場を通過。前にいた老夫婦と会話しながら、道を譲ってもらう。前方を見るとすぐそこに朝日小屋の赤い屋根が見えた。登りながら振り返ると、後には白馬、雪倉の姿が。よく見ると遠方には剱も見える。おもわず「おお!」と歓声を上げてしまう。歩く足にも急に元気が出て、小屋への到着となった。 |
小屋前ですぐに荷物を出してシュラフやフリース、マットなどを日に当てて乾かし始めた。その後受付。「すぐに入ってくるかと思ったけど」と言われ、「いやあ、テントに穴があいてて昨日の雨でシュラフがびしょびしょになっちゃたんですよ」と応える。ああ、この人があの小屋日記をまめに書いている人かな、と思いながらこの後の天気を聞く。(山の天気だから)はっきりしたことは言えないが、基本的にはくずれることはなさそう、とのこと。シュラフも乾きそうな感じだし、テン泊にすることに決めた。 |
小屋前のシュラフ等はそのままにしておきながら、テントを設営。こちらも濡れているので底を太陽の方に向けて乾かす。一通りの仕事は済んだので、ビールで乾杯。白馬〜雪倉の稜線を眺めながら気持ち良く酔う。ああ、あそこを歩いている時晴れていたらどんな景色だったんだろう、でも今こんなに晴れているからいいかー、などとどうでもいい気分になる。飲みながら、小屋泊まりの何人かの人と会話する。小屋脇に社があるので、目の前のでっかい朝日岳を眺めながらお参りしておく。 |
ビールの次は酒。小屋で買うとき、小屋番さんと会話。「ネットの更新頑張ってますね」というと「ここでやってるんですよ」と、傍らを見ると、そこにはノートPCが。「暇な時に書き込んでます。暇だからあれだけ書けるのかな」などと冗談を言って場を和ませてくれた。山小屋でここまで出来るようになった苦労話も聞かせてもらった。栂海新道のよさも熱く聞かせてもらうことができた。いやー、本当に山が好きな人なんだなぁ。ついでに明日の天気をWEBで見せてもらうと昼過ぎまで快晴マークが並んでいた。明日もいい山になりそうだ。 |
外に出て酒を飲む。しばらくすると小屋番さんが出てきて、お客さんに声をかけながらあたりを回っている。沢から入ってまだ到着していない人をバイトの人に探しに行かせたりもしている。自分のところにもやってきて、シュラフは地面に置いておくとかえって湿るから、と小屋の屋根の暖かそうな所に広げさせてもらった。こちらが心配になるくらい気を使う人だ。感謝感謝。 |
暗くなってきたのでテントに戻り夕食にした。今日のテン場は3張。みな単独。静かなものだ。食べ終わって夜空を仰ぐと、降るような星空だった。天の川も見える。富山の方を見下ろすと、市街の灯りのさらに向こうに、漁火が瞬いているのが見えた。すっかり乾いたシュラフに入って就寝。夜は少し風が出たようだ。 |
●3日目 5時前起床。テントの外に顔を出すと夜明け前の空に月がくっきりと見えた。快晴だった。朝飯は味噌汁に餅投入。味噌汁2人前を濃いめに作っておき、鍋用の薄い餅を入れて食べる。久々にやってみたがこの山飯は簡単な割にうまい。餅200gを一気に平らげてしまった。味噌汁は濃いめにして、飲む時に薄めるのがいいかな。... |
撤収していると小屋番さんがやってきて、今日は木道整備の荷揚げでヘリが何度も飛ぶので驚かないで、とのこと。ハイ了解です。いやー、テン泊の人にここまで気を遣う小屋はなかなかないのではないだろうか? そして見ていると、出立する人すべてに「ありがとうございました」と声をかけている。下手な旅館よりも気合の入った接客だ。いや、接客というよりも山そのものとそこに来ている人が好きなのかもしれない。 |
右手に白馬、雪倉、剱を見ながら朝日平を去り、朝日岳への登りへと入る。登りながら振り返ると朝日の当たった小屋の屋根がかわいらしい。その赤と同じ色のフリースを着た小屋番さんが外で体操?しているのが小さく見える。なんだかこちらを見送ってくれているような、そんな気がした。この小屋には一度泊まってみたいな。そんな気にさせる小屋番さんだった。 |
登るにつれ風が強くなっていくので、陰でメガネをコンタクトレンズに換えておく。樹林帯とお花畑が交互に現れるような道。ところどころ展望もよくどんどん高度があがって行った。やがてハイマツ帯となり風が一層強くなると、朝日岳山頂に到着した。山頂からの展望は最高。今まで見えていた白馬、雪倉、剱、立山はもちろんのこと、剱の隣に赤牛・水晶が見えたり、振り返ると妙高・火打のシルエットも雲海の上の浮かんでいた。日本海もよく見えた。 |
ずっと滞在したいのだが強風で寒いので山頂を去る。バスの時間もあるし...千代の吹上までの降りは草木も少なく。この辺りが植物さえも生えにくい気候であることがわかる。名前や地形から見ても、常に強い風が吹いている場所なのだろう。風に負けじと斜めになりながら降っていく。千代の吹上には「栂海・日本海→」の赤ペンキが。思わずそちらに吸い込まれそうになりつつも、今日は蓮華温泉への道へと降っていく。 |
カライトソウ、タテヤマリンドウを見ながら進んだ先では、ちょうどヘリが資材を下ろしに来たところ。立ち止まって見守る。地上の作業員の耐風姿勢がかっちょいい。。ヘリを見ると「アカギヘリコプター」とある。作業員の人に元気よく挨拶されこちらも「おはようございます」と返す。 |
ここからは木道やガレ場の降りとなった。湿原になっているのでところろどころ濡れて滑る。神経を使いながらの降りとなった。木道は歩くことができないほど損壊している個所があり、いたしかたなく湿原の中に道が付けられている。今日の荷揚げで早く復旧してほしいものだ。途中、ヒオウギアヤメの花を見ることもできた。雪倉や朝日の稜線を何度も振り返りながら降っていく。昨日、小屋手前であった老夫婦がいて、ここでもまた会話しながら道を譲ってもらった。 |
細かい登りを交えつつ、樹林の中を降っていく。ザレた斜面を横切るような個所もあった。やがて五輪の森、と標識があり、しばらく行くと青ザクと呼ばれる個所に出た。ここは開けて展望が良い。休憩をとって、五輪高原と呼ばれる湿原を眺めた。相変わらず、荷揚げのヘリが往来している。 |
青ザクを降ると五輪高原の木道に出た。この辺りもお花畑で、ハクサンシャジン、シモツケソウ、ワレモコウなど咲いている。花園三角点からは一気の降り。森の中どんどん高度を下げていく。途中、ダイモンジソウの大群落があって見事だった。降りきってしばらく行くと白高地沢に出た。目を疑うようなかけられかたをした桟道と梯子で沢を渡る。危うくストックを落としそうになり冷や汗をかく。まだ先は長そうなので、チョコバーとウィダーインゼリーで補給しておく。案外時間がかかっており、休憩もそこそこに進んでいく。 |
河原歩き。増水している時などは注意が必要そうだ。再び森の中に入り、今度は細かいアップダウンのある道が続く。昨日の水平道と同じく、登ったとたんに降るような道が続いている。谷底の暗い道、消耗するのを感じながら歩いて行く。バスの時間があるし風呂にも入りたいので、余裕がない。瀬戸川の鉄橋を渡るころにはかなり疲れていた。 |
そこから蓮華温泉へは登り返し。虫が大量にたかってくるのを払いながら登る。結構な急坂をこなし、またも木道が現れた。夏のような日差しがさす中を歩いて行くと、兵馬ノ平と標識がある湿原に出た。蓮華温泉まで60分とある。ひょえー、遠いなぁ。いまはビール目指して歩くしかない。 |
疲れた足を引きずりひたすら木道を登っていく。このコース、途中のアップダウンも合わせると、朝日岳から降りた分の、1/3は登り返しているような気がする。カモシカ展望台への分岐で蓮華温泉まであと20分。なんとか13時にはロッジにたどり着けそうだ。木道も終わり、人気のないキャンプ場を右手に見ながら林道を進むと、おととい出発したようやく蓮華温泉へと帰着した。小屋を先に出たオジサンが一足先に着いたところで、「早いですねー」と声をかけると、「その荷物で追いつくなんて、あんたも一流」と言われる。やたらと一流を連発する面白いおじさんだった。 |
蓮華温泉ロッジで風呂に入って汗を流す。有色の濃いい温泉だった。風呂を出てビール、ビール! 食堂で生ビールを注文。かーっ、うまい!! 窓からは雪倉朝日の稜線も見えるし、気分は最高だ。 |
さらに「謙信」という地酒のワンカップを追加。腹も減ったのでカレーも注文。あー、やっぱり下山後のカレーはうまいなぁ、と思いながら食べていると、先ほどの「一流」のオジサンが風呂から上がってきて、「山の後のカレー、最高のぜいたくですな」と言われ、うんうんその通りだ、と思う。群馬から来たというこのオジサン、途中で知り合った単独のおばさんを車に乗せて帰るそうな。「風呂上りでどう化けて出てくるか」なんて言ってるぞ。おいおい。 |
いやー歩いた歩いた。達成感に浸りながら、蓮華温泉を去り、糸魚川行きのバスに乗り込んだ。乗客は自分を含め4人。混む時はぎゅうぎゅうになるらしいが、この時期はそんなことはないようだ。ぐっすり眠りながら糸魚川駅に帰ることができた。駅では特急まで時間があるので、車掌さんに勧められた「金七」という店に行ってみるが、残念ながら準備中の看板。次に来る時は糸魚川でもう少し余裕を持たせるプランにして寄ってみようか。仕方ないので、駅の隣の土産物センターで雪鶴という地酒など買う。その酒を飲みながら「はくたか」で越後湯沢まで出て、上越新幹線に乗ると、旅の余韻に浸る間もなく東京の人となった。 |
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