2004年4月24日(土) 晴れ一時曇り〜2004年4月25日(日) 晴れ
テント1泊 単独
幕営地:奥多摩小屋
●写真
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●交通
往路 | JR | 蒲田4:49 − 川崎4:53 |
川崎5:02 − 立川5:58 | ||
立川6:04 − 青梅6:34 | ||
青梅6:35 − 奥多摩7:17 | ||
西東京バス | 奥多摩駅7:50 − 峰谷8:28 |
復路 | 西東京バス | 東日原14:50 − 奥多摩駅15:15 |
JR | 奥多摩15:36 − 川崎17:33 | |
川崎17:35 − 蒲田17:40 |
●山行
1日目(歩行時間4:30) |
峰谷8:48-林道終点9:58-途中休憩15分-石尾根12:25-千本ツツジ12:32-休憩6分-千本ツツジ発12:38-七ツ石山13:20-休憩5分-七ツ石山発13:25-ブナ坂13:35-奥多摩小屋14:05 |
2日目(歩行時間6:08) |
奥多摩小屋5:40-途中休憩10分-雲取山6:50-休憩40分-雲取山発7:30-雲取山荘7:50-休憩20分-雲取山荘発8:10-大ダワ8:28-休憩10分-大ダワ発8:38-熊穴窪9:22-途中休憩10分-長沢谷出合10:55-富田新道分岐11:20-途中休憩10分-八丁橋12:28-休憩18分-八丁橋発12:46-小川谷橋13:22-東日原13:46 |
●記録文
●1日目 山歩きを再開して一ヶ月。体も出来上がってきたので、テント泊で雲取山に出かけることにした。前に雲取に登ったのは5年前で、時期も4月末と今回と同じ。あの時も寒気が流れ込んで寒い山行だったけど、今回もまた、真冬並みの寒気が流れ込むということで、山頂付近の気温は確実に氷点下になりそうな気配だった。 |
本日の入山地は峰谷。バスは10人程度立ち客が出た。途中ぽちぽちと人が降りて、奥多摩湖でどっと降りた。終点の峰谷では8人下車。自分以外はすべて鷹ノ巣に向かった。峰谷は小さな集落だけど、民宿があって入浴もできるらしい。売店はない。トイレは真新しいのがあった。 |
登山道はバス停前から民家の庭を抜けるようにして出発。峰の集落の中を林道と山道を交互に歩いて高度を上げていく。このあたりからは、鷹ノ巣山のカヤトの稜線を間近に眺めることができた。途中古い社の花入神社にお参りする。その先の民家で声をかけられて、「ここから登る人はほかを相当歩いている人だ」と言われる。2−3日前の真夏日と違って、今日は寒く、日陰に入ると風が冷たい。しかし、荷は17Kで汗はそれなりににじんでくる。 |
ゆっくり歩いていたら最奥の民家まで一時間かかってしまった。そこから未舗装の林道をしばらくたどった先が登山道の入り口だった。ここから千本ツツジまでは2時間半。その行程の前半分は植林帯の緩慢な登りだった。途中一度林道を横断してからは、植林帯とはいえかなり山深く、ちょっと怖い気がしたので熊鈴をつけた。とにかく人気のない登山道だった。風が冷たく、休憩すると数分であっという間に体が冷えた。 |
ほとんど急な登りもなく、赤指山を巻いたあたりで右手に石尾根の稜線が見え隠れするようになると、林相が変わって唐松林と自然林の混交林になった。唐松の新緑とツツジの花のピンクが美しかった。晴れていた空が予報どおりいつの間にか曇り始めて、雨でも降り出しそうな気配だった。 |
峰集落への廃道っぽい巻き道を分けたところで、緩かった登りも終わった。ここから1時間ほどは急になって、ペースががくんと落ちてしまった。右手に真新しい軌道のような物がずっと続いていた。このあたりで本日はじめての登山者とすれ違った。結局千本ツツジまでの間に出会ったのはこの二人組みだけだった。 |
石尾根の水平に横切る道に出るとほっとした。雰囲気からいってもここは奥秩父縦走路への助走とみてもいいだろう。いったん荷物を置いて、千本ツツジへとザレた急斜面を登った。山頂付近はまだ冬枯れの状態。このあたりのツツジが咲くのはもう少し先なのだろう。開けた防火帯で見晴らしはよく、奥多摩の山々や大菩薩、南アルプスが見えた。ルリビタキが青い背をちらつかせてあたりを跳ね回っていた。気温が低く風があるのでかなり寒い。 |
石尾根縦走路に戻って七ツ石山を目指した。コマドリが道に落ちてる何かをついばんでいて、こちらが進むと少し遠ざかるような形で、しばらくの間、一緒に歩くことになった。一人で歩いているとき、こんな小鳥でもいるとなんだか気分も明るくなるというものだ。 |
この付近で背広に手提げ姿という信じられないいでたちの老人が千本ツツジへと登っていくのを目撃した。目を疑うような気持ちで振り返ると、向こうもこちらを振り返っていたので、足早にその場を後にした。他にはマウンテンバイクで石尾根を下っていく人もいた。 |
七ツ石小屋の上で鴨沢からの道を合わせると、とたんに人が増えてにぎやかになった。巨石と崩壊気味の社を見ながら七ツ石山山頂に飛び出ると、目指す雲取山が見えた。去年登った飛竜も見える。南アルプスや富士山も見えて一気に開放的な雰囲気になった。曇ってはいるが、雲の高度は高いようだ。 |
七ツ石も寒く、山頂滞在は5分。降っていくとまたもマウンテンバイクの人とすれ違った。三条から入って石尾根を奥多摩まで下るのだそうだ。降りついたところがブナ坂。高校生らしき一団が休んでいて、ザックからスイカを取り出して具合を確認しているところだった。この寒空にスイカとは...今日はいろいろ妙なイベントがあって面白い。 |
開放的な石尾根の防火帯をさくさくと登り、五十人平のヘリポートを過ぎてあっという間に奥多摩小屋に着いた。若者の集団が複数入っているようで、すでに大型のテントが数張と、小型のものもいくつかあった。小屋で400円払って空いていたところに設営。もう少し遅ければ、斜めな状態で寝る羽目になるところだった。「小屋の施設は変わってませんから」と小屋番の人に言われ、それはそれでいいような気がした。 |
寒いのでテントの中に入ってとりあえずビールを開けた。奥多摩小屋は食料や飲み物などの販売は一切無いので、酒はふんだんに持ってきてある。ビールの次は日本酒をお燗して飲む。更に米を炊きながらジンをちびちびやり始めたころには、外では小雪が舞い始めていた。 |
夕飯のカレーを食べて、水を汲みに外に出ると、雲が無くなって空は晴れ渡っていた。予報どおり曇ったのは午後の間だけだった。水場は3分ほど斜面を下ったところ。水量は豊富だった。氷のように冷たい水がうまい。戻って一服し、日暮れまでヘリポートの辺りで暮れなずむ景色を眺めた。日が暮れて寒くなったのでテントに戻ると気温は−5℃。テント内は0℃度だった。モンベル ダウンハガー#1の暖かさはその程度ではびくともせず、快適な一夜を過ごすことが出来た。未明から風が出た。 |
●2日目 押し寄せる風のうなり声を聞きながら夜明けを迎えた。周囲の人が起き始めるのに促されるように外をのぞくと、薄明だったが快晴の様子だった。さっきまでは寒くてシュラフから出るのが億劫だったのに、これを見ると俄然やる気が出てくる。じっくりストレッチをして撤収。夜が明けて5時半。まだ食欲も無いので、そのまま山頂を目指すことにした。 |
ザレた急斜面を登りながら後ろを振り返ると、富士山や南アルプスが見えた。残念なのは、この寒さのわりに透明度がイマイチなところ。曇っていた昨日の午後のほうが明らかにクリアだった。 |
富田新道の分岐で少し年上な感じの人と会話。新入部員ほど荷物が軽いらしい近頃のワンゲルの状況に一家言あるご様子。そのお仲間と思われていたようだが、そういった団体に所属したことのない自分は何とも申し上げかねる。小雲取を過ぎると国師や甲武信、和名倉山など奥秩父の山々が姿を見せ始め、雲取の山頂にデコレーションされた雲取避難小屋小屋も可愛らしい。 |
雲取山頂到着。5年前と変わらずの好展望は期待通り。そして、老若男女問わず身近に親しまれている様子が、山頂にいる人たちから分かった。埼玉側から吹上げてくる風が冷たいのも前回と全く同じ。Kとここで朝食にしたのを思い出しながらパンをかじった。30分ほどの滞在で、雲取山荘へと降る。樹林帯の降りは山頂より風が強く、鼻がもげそうなくらい痛くなった。 |
雲取山荘は前回来たときから改装されていて、随分頑丈かつ洒落た風情になっていた。まだ鯉のぼりはない。ここのトイレはペーパー付きで水洗の最高級。飲料水はまだ凍っているのか出なかった。一服した後大ダワへと下降。山荘のテントサイトの横を通るが、どう見ても10数張がいいところだろう。今回もここに張ろうか迷ったのだけど、設備はともかくロケーション的には奥多摩小屋に張ったほうが断然よいのでやめてしまった。 |
左手に両神や和名倉を垣間見ながらタッタと降ると鞍部の大ダワ。展望はないけど、原生林の雰囲気がよい。白人カップルが雲取へと向けて力強い足取りで通過して行った。 |
大ダワ林道の降りは、はじめのうちはゆるいものの、熊穴窪を過ぎたあたりからは劣悪に。彫りの深い大雲取谷を右下に見ながら高巻くのだが、方々で登山道が崩壊中。ザレた急斜面を横切る道で、片足の幅くらいしかないところを通過していく。もちろん踏み外せば数十メートル下の谷に真逆様だ。これが1時間以上続いたのにはちょっと辟易した。しかし、あたりはミツバツツジが満開。谷筋の新緑もよく、極まれにある猫の額ほどの場所で休憩をとって眺めることができた。途中登ってくるグループが3つあった。 |
小広い尾根に出てほっとすると、そこはもう長沢谷の上で。沢まで降って登り返した先が林道だった。車が数台止まっている。自分は日原まであと2時間半の歩きだ。現在11時。13時半のバスに間に合うだろうか? 大ダワ林道で結構時間を食いすぎた。 |
富田新道の入口には5−6台の車が止まっていた。時計を見ると11:20。疲労はそれほどでもなかったが、足の裏全体がかなり痛い&痺れた。この半年ろくに歩いてなかったのでなまったのだろう。スピードも上がらず、途中靴を脱いで足をもまなくてはならなかった。八丁橋に着いた時点で12時半を回ったので、13時半のバスはあきらめ、14:50のバスに乗ることに決めてあとはゆっくり歩いた。それで気分も落ち着き、ペースも落としたら急に楽になって、また辺りの新緑を楽しみながら行くことができた。 |
日原のバス停で1時間酒を飲み、酔っ払いとなる。バスはたいして混まず奥多摩駅へ。駅前はいつものハイカーグループに加え、ボーイスカウトやらワンゲル団体やらが大量に駅に戻ってきたところ。ちょうど新宿行きの電車が出るタイミングらしい。混みそうなのでそれに乗るのはあきらめて、ポテチとチューハイを買ってホームに上がると、次の電車はなんと川崎行きだった。「奥多摩−川崎ハイキング号」というらしい。こんな電車今まであったのだろうか? 拝島から先は立川、登戸、武蔵溝ノ口、武蔵小杉しか止まらないという快速運転。途中で乗ってきた沿線の人も珍しがっていた。おかげで立川で乗り換えることなく、ぐっすり寝ながら家路につくことができた。 |