●第36回 2004/10/22 簡易浄水器 武尊山の記録にも少し書きましたが、今日は浄水器の話です。 山で飲む湧き水ほどうまい水はありません。行動中にちょろちょろと流れている清水を見つけると、ついごくごくと飲んだり、顔を洗ってさっぱりしたり、とにかく心身ともにリフレッシュさせてくれる存在です。 こうした水はそういった清涼剤である一方、命をつなぐための大事な存在でもあります。縦走中、小屋がなかったり、小屋があっても十分な水がなかったりすると、こうした自然の水に頼ることになるでしょう。それがきれいな湧き水ならそのまま飲むのに問題はないのですが、ときには流水(沢水)だったり、池の水を汲まなくてはいけなかったり、人や動物による汚染の可能性があったり、そのまま飲むには不安な場合もあります。 そんな時は、水を煮沸して利用することになります。しかし、この「煮沸して利用」にはいくつかの問題点があります。それは、 1.時間がかかること 2.コンロやコッヘルなどの道具と燃料が必要なこと 3.味という点ではイマイチ以上に納得のいかない場合のあること といった点です。 今回の武尊山では手小屋沢避難小屋で流水を汲んで利用しなくてはいけませんでした。そこで、簡易浄水器スーパーデリオス (写真)を試してみることにしました。これは、マヨネーズのような入れ物に水を汲んで、ぎゅーっと押し出して水を濾過する仕組みになっています。500mlの水を作るのに2−3分はかかります。出来上がった水は、無味無臭のおいしい水で、もちろん冷たいままですからすぐに飲むことが出来ました。これは水を煮沸するよりもかなりGOODです。 さかいやスポーツで探したときは、他の簡易浄水器はみな1万円以上するものばかり。そうしたものはたいてい大型なので山に持っていくには不向きです。その点、このマヨネーズ式浄水器なら軽いしかさばらないので、縦走中に持ち歩くにも良いと思います。値段は3000円くらい。600回(=200L)使えるようです。小屋で買う水の値段を考えれば安いものです。 皆様も水場の不安なところにお出かけの際は利用されてみてはいかがでしょうか? | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
●第35回 2004/09/29 ヨガで体を柔軟に 10代20代のころと違い、30代に入ってからは、何も運動しないと体力はすぐに衰えるようになりました。筋力、反射神経、平行感覚、持久力、体脂肪などいろいろ気になるポイントはありますが、そのうちのひとつが体の柔軟性でしょう。今日は今年GW過ぎから独学ではじめたヨガの話をしてみます。 30代になってからというもの、筋トレ、ジョギング、山歩きなど、運動をするたびに、体が硬くなっていることを感じずにいられなくなりました。今まであがっていたところまで足が伸びなかったり、手が届かなくなったり、体がひねれなくなったりし始めたのです。そこで、それまで馬鹿にしていたストレッチを、運動前に必ずやるようにしました。これは思いのほか効果的で、柔軟性が増すだけでなく、故障する確率もかなり減ったような気がします。よく言われるストレッチの重要性とはこのことだったわけです。 そんなある日、テレビのお笑い番組で芸人がヨガにチャレンジしているのを見て、「あ、これって今の自分に必要なことかもしれない」と、唐突に連想してしまいました。きっかけはちと妙なのですが、思い立ったが吉日。ネットで入門書を検索し、「簡単ヨガレッスン」という、難易度の低そうなものを購入しました(ヨガ教室に通う、なんていうのはメンドいですし(^^;)。 この本が意外とよく出来ていて、無理なポーズもなく、宗教くささもない、とにかく毎日生活の中で続けられるような内容になっています。雑誌やテレビで見るような人間離れしたポーズではなく、ストレッチをするのとそう変わらないものばかりです。1週間くらい様々なポーズを試してみた後、だいたい自分流のメニューが出来上がってきました。 続けてみると、はじめのうちはものすごく硬かった体が、徐々にやわらかくなっていくのがわかります。ストレッチは体を伸ばすための機械的な作業になりますが、ヨガは呼吸法や、筋肉の緊張と弛緩の繰り返しがあるので、より複雑な作用がありそうです。究極的には瞑想にいたるということですが、そうした境地に至るのはよほど鍛錬を積んでからなのでしょう。当然私はそこまで目指しているわけではなく、継続的に体を柔軟にしておきたい、という目的にヨガがピッタリはまった、というところでしょうか。 とりあえず5月から4ヶ月間、毎朝15分くらいの時間をヨガの時間に当てています。ヨガは本来朝やるものだということで、私の場合も飲みすぎや寝不足、前日のトレーニングの疲れもこれですっかりほぐすことができてます。生活にリズムが出来た、とでもいうのでしょうか? 午前中の仕事の能率も上がった気がします。柔軟性を養う以外に、平衡感覚をつけられるようなポーズもあって、電車の中でもつり革いらずになりました。歩くときも自然に背筋が伸びるようです。ヨガを続けることで、これからも、健康かつ安全に山に登れそうです。 #ちなみに一部で言われているようなダイエット効果は、私の場合はありませんでした。あしからず。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
●第34回 2004/09/15 10数年ぶりに再発見〜プログラミングの面白さ〜 1998年にこのサイトを立ち上げて、まる6年が経とうとしている。いままで利用していたのは無料のWEBスペースで、静的なコンテンツしか置けなかった。しかし、この8月からサーバを移転して、インタラクティブなコンテンツを設置できる環境になった。ディスク容量も格段に増えたし(1GB!)、CGIやらDBやら、いろいろな技術を利用できるようになった。手始めに2−3週間前からRuby(スクリプト言語)を勉強し始めて、アンケートやら掲示板やらを作って遊んでいる。 自分のパソコン歴は今から10数年前の学生時代に端を発している。当時利用していたマシンはNECのPC-9801。インターネットはおろか、Windows3.1すらまだなく、N88BASICやMS−DOSでプログラムを組んだり、ゲームをやったり、パソコン通信をやったりしていた。 当時学生だった私は、日がな一日パソコン通信にハマっていた。掲示板に書き込み、チャットで見知らぬ人と会話するのが面白くて仕方がなかった。時にはフリーウェアをダウンロードして遊ぶ。無料でこんなに便利なソフトが公開されているんだ、と様々なプログラムを実行しては、未知の驚きを味わっていた。 もちろんこの当時、パソ通をやるような人間はパソコンおたくだけだった(当然「おたく」などという単語はまだ一部の人にしか知られていなかった)。たぶん周囲の目には奇異に映っていたことだろう。深夜の電話ボックスで、ノートPCを繋いで通信しているのを見咎められて、警察に職務質問されたこともあった。 そうした繰り返しの中で、自分でも何か面白いソフトウェアを書いてみたい、それを人に使ってもらいたい、という想いにかられて、Turbo CやTurbo Assemblerなどのツールを購入。小さなプログラムを書いて、サイトにアップロードしたりしていた。それがきっかけで人に自分の書いたプログラムを使ってもらうことの楽しさを知った。 そして就職。幸か不幸か、私はそのままソフトウェアを商売にすることを選び、結果、趣味でプログラムを組むことから遠ざかってしまった。もちろん、この学生時代の経験が、今の自分を支えていることに変わりはない。いや、むしろそのときに得たものを食いつぶして生きてきたというべきか...大学の研究室に残してきた実験プログラムがいまだに使われることがあると聞くと、なんだか甘酸っぱい気分になったりする。 近頃、その楽しさが、10年以上の長いブランクを経て、再び自分の手元に戻ってきた。WEBプログラミングという形に姿を変えて。抗いようのない流れによって仕事がカネにまみれていく今日この頃、久々にモノを作るという楽しみを思い出したような気がしている。この純粋で単純な達成感は、山に登ることとどこか似ているのかもしれない... | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
●第33回 2004/09/03 山の献立 山で毎食自炊するのってそれなりに工夫が必要だと思います。物理的な量や重さにも気を使いますし、鍋の汚れ具合や調理の順番も大事ですね。みなさまはどういったメニューで日々の山行を乗り切っているでしょうか? 今日は私の献立を紹介してみたいと思います。自炊するような山行はいつも単独なので、献立というほど中身は豪華じゃありませんが...それでは朝から順番にいってみましょう。 朝食はお茶漬けにすることが多いです。4時5時に起きて何か食べようと思っても、たいていはよく喉を通りません(前日の酒が残ってたりもしますし(^^;)。米は前日の夜焚いたものをとっておきます。コッヘルに残ったご飯に水を入れて火にかけて、お茶漬け海苔と梅干を2つくらい入れます。温まったら出来上がりです。サラサラっと入るので、食欲がなくても喉を通ります。梅干以外に塩昆布やふりかけ用のワカメを入れたりして、味を濃くしたりもします。お茶漬け以外には、味噌汁にもち投入というのも案外いけます。チーズを入れたりしたらとんでもないご馳走になります。 行動食としては、一口羊羹、カロリーメイト、ウィダーインゼリー、スニッカーズなどを持っていきます。梅干や塩をなめるのも疲れたときには生き返ります。ウィダーインゼリーは食欲がないときや時間がないときに、一気に流し込めるので重宝します。 昼飯は菓子パンの出来るだけ日持ちするのを持っていきます。少し多めに買っていけば予備食にもなります。他には水を持ち歩いて、展望地に腰を下ろしてラーメンにすることもあります。カップめんはかさばるので、袋入りのものを持っていきます。中華三昧は割高ですが、少しリッチな気分になります。 夜は必ず米を炊きます。やっぱりご飯を食べると力が出ます。量は大体1.5合くらい。朝の分もあるので少し多めにしときます。米を持参するなら無洗米が便利です。無洗米はとがなくてもそのまま炊ける米で、スーパーでも売ってます。 問題はおかずですが、炊きたての米があれば大体なんでもいけますよね。私の場合缶詰(コンビーフ、鮭缶、蒲焼缶とか)、レトルトカレー、マーボ春雨なんかが多いでしょうか。今年の南アルプスでは「すし太郎」を試してみましたが、これはなかなかいけました。一袋2人前なので、翌朝も「すし太郎」の余りになってしまうのが難点ですが...あとは調味料として醤油を持って行きます。なんにでもかけられるし、味が足りないと思うときに至極便利です。 他には酒のつまみとして、柿の種やポテトチップ、イカ燻みたいな乾き物を持参します。これも少し多めにしておけば、いざというときの予備食に早変わりです。 私の食料計画は大体こんなパターンです。こうして書いてみるとなかなかそっけないメニューですが、まー手間もそんなにかからないし、ひとりならこれでも贅沢なくらいかもしれません。量は予備食も兼ねて少しづつ大目に持って行くので、けっこう余ることが多いです。皆様の山での食事はどんな感じでしょうか? そういえば今回の南アルプス山行で、素麺の味噌煮込み、というのを薦めてくれた人(Tさん)がいたので、近いうちにそれも試してみようと思ってます。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
●第32回 2004/08/26 米沢牛とウニ・山形/福島18きっぷ旅行 夏休みに青春18きっぷで東北旅行に出かけたので、今日はその話です。 旅程は2泊3日。猫がお留守番なのでそれ以上は空家に出来ません。Bが「たまには海を見たい」というのでいろいろ探したのですが、すいている上にきれいな海岸線なんて、東京から電車で行こうとすると、適当なところが見つかりませんでした。 「海がだめなら食い物だ」ということで去年の前沢牛に続いて、米沢牛を食べに行くということにあっさり決定。そして東北といえばやはり温泉。前の週にBが白布温泉をあたって、なんとか中屋・不動閣を予約することが出来ました(一人10500円也)。せっかく白布温泉まで行くので2日目には西吾妻山のハイキングをプランに組み込んでもらいました。山の後は米沢牛を食べて米沢市内泊。最終日はいわきに出た後、小名浜でウニを食べて帰ろう、という計画です。一応海も見れますし。 8/11、蒲田を朝5時半出発。上野で東北本線に乗り換えです。途中宇都宮で餃子弁当を買おうとしたら、8時ではまだ届いていないということで、ガッカリです。福島に着いたのは12時前。帰省ラッシュが始まったのか、電車はずっと混雑してました。福島で1時間時間があったので、駅ビルの2Fでイタ飯を食べたら、結構おいしくて量もあったので2人で思わずニッコリしてしまいました。米沢に行く途中の峠駅では、力餅とかいうお土産を売っていて、電車が止まると皆さん買いに走ってました。知らなかったわれわれはとっさに動けず指をくわえてみてるだけ。 ビールを一本空けて米沢到着。その勢いで、市内循環バスに乗って東光の酒蔵に直行しました。酒蔵は要入館料なのですが、無料試飲と有料試飲ができます。もちろん有料試飲も頼んで、古酒やら大吟醸やらを割安に飲むことが出来ました。旅の途中で飲む酒も買ってすっかり酔っ払いとなりました。近くにある「おいしい」という噂の花角味噌醸造にも寄って、味噌と漬物を買いました。ここで買った「カクリキうき糀みそ」はなかなか美味で、味噌だけなめても酒の肴になります。もちろん料理に使ってもOK。 いったん米沢駅に戻って、バスで白布温泉まで移動します。中屋の本館は何年か前の火事で消失したということですが、別館の不動閣というのがあって、そこに泊まりました。宿の対応もよく、部屋も渓流沿いの静かなところでした。温泉はかすかに硫黄臭がする無色透明のお湯でした。露天風呂は緑と鳥の鳴き声に囲まれて、朝5時に入ったときは誰もいなかったので、ゆっくり堪能することが出来ました。ご飯も食べきれないくらい出てくるので、これで10500円なら文句なしです。 2日目は西吾妻山ハイキングのあと再び米沢市街に戻りました。お土産購入のため、上杉城址苑に寄ります。ここは米沢+山形のお土産がたくさんそろっているところで、やはり米沢牛の加工品が目に付きます。他には、漬物や味噌、地酒などあって自宅用にいろいろ買ってしまいました。日本酒を見ていると九郎左衛門の大吟醸を見つけてしまったので、これは思わず衝動買いしてしまいました。家に持って帰るまで待ちきれず、旅をしながら飲み干してしまいました。 夕飯は「米沢牛黄木」でしゃぶしゃぶ、トロにぎりを堪能しました。ここの肉は普通の肉でも十分おいしいのですが、受賞牛という特別な肉は、本当にとろけそうなウマさでした。値段だけの価値はあると思います。ちなみにBは感極まって(?)ステーキ重まで追加注文。すっかり平らげて、かなりご満悦の様子でした。いったいどこにそれだけ入る胃袋があるのか不思議なくらいです。 夕焼けの吾妻山と最上川を眺めながら、今夜の宿へと向かいます。2日目の宿泊は「ホテルアルファ−ワン米沢」。値段はツインで9800円。部屋はかなり広かったのでゆったりくつろぐことが出来ました。窓からは朝焼けに染まる月山や朝日連峰が見えました。出発前にフロントで大量に購入したお土産等を、宅急便にして送ってもらいました。 景色はいいし、うまいものはあるし、町の雰囲気や人もやさしい雰囲気の米沢。後ろ髪を引かれながら米沢駅を8時に出発です。売店で米沢牛弁当と雪割納豆を買って電車の中で食します。昨日あれだけ肉を食べたのに、やっぱり弁当はうまいし、雪割納豆という保存食もおかずや酒のつまみとして最高でした。 福島からは、帰省ラッシュの混雑を避けて高速バスでいわきまで移動。事故があったらしく、なかなかバスがやってこなかったので気をもみましたが、何とかいわきに到着しました。いわきからは常磐線に乗って泉へ。ここでアクアマリン福島行きのバスに乗りかえて小名浜へと向かいました。ちなみに泉から小名浜行きのバス、JR時刻表には2−30分毎に出ていると書いてあるのに、実際は一日に数本しかなく、危ないところでした。乗客はわれわれだけでガラガラでしたが。 小名浜に着くとお盆のためか、ファミリーやカップルで大混雑しています。漁港に隣接して水族館や海産物の大きな市場(いわき・ら・ら・ミュウ)がありました。われわれはうだるような暑さの中、まずはウニ丼めざして、割烹一平という店を訪ねました。怪しげな店が立ち並ぶ一角に、目的の店はありました。古くからの港場らしい雰囲気です。仲居さんが忙しく働いています。 ビールを飲みながら、今が旬のかつおのたたき、イカのお造りをいただきます。一段落したところで、ウニいくら丼を注文。ご飯が見えないくらいのウニといくら、そして隙間にはマグロまでのっています。殻つきのウニもひとつあって、まだ刺が動いているのをスプーンですくって食べると、普段食べるウニとはまったく別物の甘い味がしました。おなかがいっぱいになったあとは、小名浜漁港の直売店や「いわき・ら・ら・ミュウ」で海のお土産をゲット。イカやかつお、メヒカリなどをお土産にしました。 再びバスでいわき駅まで戻って、あとは常磐線の旅。九郎左衛門の残りや米沢ワインなど飲みながら、酔い酔いとなって帰京しました(いつもどおり(^^;)。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
●第31回 2004/06/07 単独とグループ みなさまの普段の山行は、単独、それともグループ、どちらが多いでしょうか? ご存知の通り、私は単独で行くことがけっこう多いです。今回のまき道日記は、単独の場合とグループの場合の長所短所のようなものを少し考えてみたいと思います。まずは私なりの分析を一覧表にしましたのでご覧ください。
あくまで独断と偏見による分析なので、パラメータがこれで足りているのかビミョーですが...それでは以下、主に単独の視点に立って考えてみます。 @会話 えー、いきなり単独に×がついてますが、これは仕方ありませんね。単独で歩いている場合、会話する相手がいないんですから。独り言を言うか、動物と話すか、酒を飲って酔っ払うか、になります(^^;。 A行動の自由(気まま度) 私が単独で行くことの一番の理由はこれかもしれません(性格が自分勝手なだけ?)。往復の交通、歩くコースや休憩場所、いつ飯を食って、いつ酒を飲み、いつ寝て、いつ起きて、いつトイレに行こうが自由です。これは何物にも代え難い快感です。 B出会い 一人で歩いている場合、他の登山者や小屋の人と仲良くなる可能性は広がります。心の開き方次第で、いろんな人と知り合うことができます。一方、グループの場合、その輪を超えて他者と交流するにはそれなりの意識が必要でしょう。もちろん山の性質や土地柄、混雑度にもよりますが。 C安全性 遭難した場合のリスクから言うと、単独の場合のほうが危険度が高い、というのが通説でしょうか。しかし、遭難する可能性から言うと、グループの場合人数が多い分、確率が高まるとも言えるでしょう。たとえば天気が悪いとき、一人なら無理せず山行を中止にしたり、下山したりと即決できます。その判断の速さは、安全につながるのではないかと考えています。もちろん、三人よれば文殊の知恵で、グループには総合力があるのでしょう。いずれにしろ、計画をしっかり立て、無理をしないようにしてます。 D技術向上 私の場合、山の知識は、そのほとんどが書物やネットで学んだものです。諸先輩に実技を学ぶ機会がないというのは、やはり不利で、なかなか技術が向上せず山行の幅が広がりにくいものです。 E知識交換 これも上の技術向上と同じです。が、一人の場合図鑑を見たりして、花やキノコや鳥を好きなだけ観察することができます。 F写真撮影 これは単独で行った場合の大きな楽しみの一つです。誰はばかることなく、好きな場所で好きなだけシャッターを切ることができます。山頂に誰もいないと、記念撮影には困りますが(^^; G歩行スピード 通常の登山道に限って言えば、単独のほうが早いでしょう。グループの場合、遅い人にスピードを合わせますね。一方、ヤブやら雪道のラッセルだとグループのほうが早いと思います。 H交通 私はほとんどの場合、公共の交通機関を利用してます。電車やバスの座席は、ひとつ空いてればいいので不自由しません。一人だと山で知り合ったり、林道で声をかけられたりして、車で来た人に送ってもらえることもよくあります。往復の経路を調べたり、すべてを自分で計画するのも楽しみのうちのひとつだったりします。単独で行く場合に唯一不利なのは、タクシーの利用がしづらい点でしょうか。 I荷の重さ 単独の場合、共同装備というものがありません。他の人と荷物を分担することができないのはやはり不利なのでしょう。その分、軽量化やコンパクト化など、工夫する余地があります。 J沢・岩・雪・ヤブ こういった難易度の高い山行の場合、やはり単独で行くのは危険でしょう。技術と経験がない限り、一人では踏み込めない領域です。逆にそれらがあれば、グループで行くより安全な場合もあるのでしょうが...山岳会や講習でレベルを上げないことには、限界があります。その点経験者のいるグループに同行するというのは、非常に有効なのでしょう。 以上、長くなりましたが、私の普段感じていることを綴ってみました。もちろん、単独とグループどちらにも長所短所があって、絶対こうでなくてはならないなんてことはないわけですから、安全に楽しく山に登れればそれ以上のことはありません。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
●第30回 2004/05/17 俺的山用体づくりの方法 久々(昨年9月以来)のまき道日記です。復活1回目は「俺的山用体づくりの方法」と題して私が普段行っているトレーニングメニューをご紹介してみたいと思います。 普段の体力作りは、1週間を1サイクルとしてメニューを組んでいます。土日は山に行くので、そこに向けて調子が上がるようにしています。標準的な構成は下記の通りです。
まず筋トレですが、おそらく鍛えすぎは禁物だと思います。筋肉の量や筋力を増やすよりも、持久系の筋トレを行います。つまり、あまり重いウェイトは用いず、回数をこなすようにします(1セット20〜30回程度)。重いウェイトを用いて筋肉をつけすぎると、心肺能力がそれについていかず、山では逆効果になることもあるでしょう。 私の普段の筋トレのメニューは下記の通りです。 下半身
上半身
下半身の筋トレは普段山で関節を酷使しているので、異常を感じたら無理しないようにしてます。以前オフィスでエレベータを使わずに階段を上り下りしていたこともありましたが、これは慢性的にひざの筋肉に負担がかかるようなので注意が必要です。私は渋い痛みが出るようになったので、半年くらいでやめてしまいました。 通常の山登りではあまり上半身の筋肉を使う場面はありませんが、場合によっては意外と腕力が必要になるときもあります。たとえば、鎖場や岩場では体をひきつける力や、引き上げる力が重要になりますし、木につかまりながら斜面を通過することもありますね。重荷を担いだときもある程度上半身の筋肉があれば安定するようです。 あと、筋トレをはじめるとなぜか大胸筋を鍛えたくなるものですが、山では無駄な重量になることのほうが多く、単なる見栄に終わるでしょう(笑)。また、僧帽筋(首から肩にかけての筋肉)を鍛えすぎると、重荷を背負う山では重度の肩こりになります(笑)。 最後にジョギングで調整します。筋肉だけ鍛えても心肺機能は向上しません。かえって筋肉が多くの血流を要求するため、無用の筋肉をつけることは、山では不利になるのではないかと思っています。そういう意味からも、ジョギング・ウォーキングなど有酸素系のトレーニングを取り入れて、心肺能力を維持・強化していく必要があります。もちろん体重の調整もできますし。ただし、目的はあくまでも山に行くことなので、スピードや距離は重視せず、関節を痛めない程度にやってます。 あとは入山前日に酒を抜けば準備OKです。やはり酒は抜いておいたほうが、翌日の心臓が楽になります。まぁ、一度入山してしまうとあとは毎日酒三昧なのですが(笑)。 私の場合半年くらい山を中断していたわけですが、以上のメニューを一月くらい繰り返し、山行時の荷の重さを徐々に十数キロまで重くしていくことによって、泊まりに耐えられる体に戻すことができました。3000mクラスの山に行く場合には、前の週に2000mを超える高さの山に登っておくのも効果的でしょう。 一年中こんなことをやっていると気もめいってきますし、仕事や飲みもあるので、よくサボることがあります...念のため(^^; |